11月末の投信残高、2.0%減の159兆円=6年8カ月ぶり、1兆円超える純資金流入-投信協会
2021年12月14日 10時00分
投資信託協会がまとめた11月末の公募投信残高は、前月比2.0%減の159兆5892億円となり、4カ月ぶりに減少した。国内外の株式市況が下落したことで運用損益がマイナスになったことが響いた。
ただ、個人投資家は「海外株式型」や「内外株式型」、国内外に投資する「資産複合型」のファンドに活発に投資している。株式投信(除く上場投信)を見ると、設定から解約などを差し引いた資金増減額は1兆0162億円のプラスになり、2015年3月以来6年8カ月ぶりに1兆円を超えた。また、12カ月連続で純資金流入になった。
松谷博司会長は、今年の投信市場を振り返り、「コロナショックを機会に、若い人を中心に資産形成に踏み込む人が多くおられた。国内外の株式市場はコロナショックをカバーする水準に回復している」と指摘した。
また、確定拠出年金(DC)の運用資産に占める投資信託の割合が6割を超えたことを紹介し、「国民のみなさんが日常生活の中で、投資信託を使って資産形成することが当たり前になるように、もっと普及活動を行っていきたい」と述べた。
さらに、来年4月から高等学校の授業で金融教育が始まることに言及し「『株式投資とは、投資を通じて社会参加することだ』といった投資の本質についてご理解をいただき、20歳になったら、積み立て投資を始めることが当たり前の社会になっていくことが大切だ」と指摘した。
運用会社が預かる資産は、公募投信や私募投信、投資一任勘定を合わせて、600兆円を超えて日本の国内総生産(GDP)に匹敵する規模になっている。「運用会社は、国民の生活に資する運用を行うことが重要であり、投資先企業に対してしっかりエンゲージメント(建設的な対話)を行って、企業や社会をより良くする責任を負っている。その重さを痛感し、それを担う業界として行動していきたい」と話した。