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ピクテ、信託報酬の一部を寄付=全国の事業や活動に-「グロイン」など8ファンドで

2021年11月30日 07時00分

ピクテ・ミライ・プロジェクトの対象ファンドピクテ・ミライ・プロジェクトの対象ファンド(クリックで表示)

 スイスに本社を置く外資系運用会社のピクテ投信投資顧問(本社東京、萩野琢英社長)は、投資家が住む地域活動に、同社が受け取る信託報酬の一部を寄付する「ピクテ・ミライ・プロジェクト」を始める。寄付を通じて、それぞれの地域でサステナブル(持続可能)な未来の実現に貢献する狙い。対象とするのは、旗艦ファンドの「ピクテ・グローバル・インカム株式ファンド(毎月分配型)」など8ファンド。純資産の総額は、11月10日時点で1兆円を超える。

 具体的には、各地で地域再生計画に基づき実施される「環境、教育、栄養・食、福祉、防災・復興」に関する事業や活動を選定する。寄付額は、46道府県ごとに対象ファンドの販売残高などに応じて決める。

 取締役執行役員 ヒューマン・リソーシズ部長の森川千恵氏らに話を聞いた。

取締役執行役員 ヒューマン・リソーシズ部長の森川千恵氏


◆「あらゆる富を守り次世代に継承する」ために

-プロジェクトの経緯は。

 森川氏 ピクテ・グループは、コーポレート・パーパス(企業の目的)として「顧客・同僚・地域社会・投資先企業と責任あるパートナーシップを構築し、あらゆる富を守り次世代に継承することで、実体経済に貢献すること」を掲げている。今回のプロジェクトは、その実現に向けて、取り組むものだ。

 ピクテは1805年の創業以来、少数のパートナーが共同出資して経営にあたるパートナー制を採用しており、古くから慈善活動(フィランソロピー)を行ってきた。この伝統と精神は、企業文化の基盤として連綿と受け継がれている。ここ数年は世界各地の拠点で地域活動に力を入れている。

ピクテ・ミライ・プロジェクト(クリックで表示)

 「ピクテ・ミライ・プロジェクト」は、東京に拠点を置くピクテ投信投資顧問のメンバーが、時間をかけて計画を練り上げ、スイスの本社に提案して、実現したものだ。私を責任者として、社会活動やボランティアに関心を持つ、有志9人を中心に立案した。メンバーと経営陣の熱い想いがこもったプロジェクトだ。

◆17年目の「グロイン」、感謝を込めて

-対象ファンドの選定理由は。

 森川氏 「ピクテ・グローバル・インカム株式ファンド(グロイン)」シリーズと「ピクテ・サステナビリティ・マルチアセット・ファンド」を対象にした。グロイン毎月分配型はまもなく設定から17年目を迎えるとともに、11月末時点ではシリーズ全体で全国の41道府県の金融機関や、全国展開するメガバンク・証券会社、オンライン証券会社などで、取り扱っていただいている。「グロイン」を育ててくださった投資家や金融機関の皆さまに感謝の気持ちを込めた。

 矢田康子氏(プロダクト・マネジメント部 商品開発チーム プロダクト・オフィサー) 「グロイン」は、投資先企業に対して建設的な対話(エンゲージメント)を行い、環境に配慮したグリーンシフトを促している。「ピクテ・サステナビリティ・マルチアセット・ファンド」は、10月に設定したファンドで、投資対象を選定するプロセスの中に「ESG(環境・社会・ガバナンス)評価」を加えている。どちらも「ピクテ・ミライ・プロジェクト」にふさわしいファンドだ。

◆しっかりした地域活動を選定

-寄付する事業の選定プロセスは。

 森川氏 内閣府の認定を受けた地域再生計画に基づいて行われる事業が寄付先となるが、その計画は各地方公共団体が地域のニーズを把握して作成しており、重要業績指標(KPI)など明確な目標が設けられている。また基本的に、第三者機関により行われた事後評価が公表されており、透明性のあるしっかりした地域活動を選定できる。

 当社は、来年2月頃に社内ボランティアを募集し、「ピクテ・ミライ・プロジェクト」に参加する社員を増員する。より多くの社員を巻き込んで、顧客や地域社会との「責任あるパートナーシップ」を構築してもらう。

 リストに掲載されている活動主体に、一つ一つ電話をするなどしてその内容等を確認し、寄付する地域活動を選定する方針だ。寄付内容については、スイスにあるピクテ・グループ基金の助言も受ける。

 最終的には、当社の経営委員会と取締役会の承認を経て、早ければ来年8月頃から第1回目の寄付を実施する予定だ。

 青島加代子氏(プロダクト・マネジメント部プロダクト スペシャリスト・チーム プロダクト・オフィサー) グロインは、当社のフラッグ・シップであり、長きに渡り全国で販売されている。地域とご縁の深いファンドだからこそ「ありがとうございます」という心を込めて、各地の活動を選定できるだろう。いくつかの地方自治体に電話をして、活動内容をうかがったり、こちらの想いを伝えたりしているが、こうしたコミュニケーションを通じて、人と人とのつながりを感じることができて、うれしく思っている。

 

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