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〔マーケット見通し〕米国の需要に注目-日興アセット・神山氏

2021年10月15日 09時00分

神山直樹チーフ・ストラテジスト

 日興アセットマネジメントは、四半期ごとにまとめる経済見通し「グローバル・フォーサイト」の2021年秋号を発表した。神山直樹チーフ・ストラテジストは「米国の需要が安定して回復するかが、世界経済の先行きを決める」と指摘、米政府が実施した家計支援策が消費を支え、「雇用回復→賃金上昇→消費加速→貿易拡大が期待される」と話した。

 一方、(景気後退と物価高が同時進行する)スタグフレーションを懸念する声が出ていることについては、「供給ショックは一時的なもので、インフレが原因で成長率が低下する状況があったとしても、せいぜい3カ月~6カ月だろう。1~2年にわたって経済がマイナス成長になり、インフレが加速するスタグフレーションにはならないだろう」と分析した。

◆需要は高水準を維持

 まず、需要の背景にある雇用をチェックする。米国の非農業部門雇用数は、コロナショック前の水準を500万人程度下回っている。ただ、失業保険の支給期間が終了したり、接客業からほかの職種への転換が進んだりする中で、来年3月ぐらいまでにはショック前の水準を回復するだろう。

 米国の小売売上高は、コロナショック後に経済が正常化する中で、トレンドラインを上回って増加した。先行きについても、この水準を維持する可能性が高い。米連邦準備理事会(FRB)の調査によると、国民はコロナに関する給付金の3分の1を消費し、3分の1を借金の返済に充当し、残りの3分の1を待機資金にしている。この待機資金が、消費に回ると予想している。

 この結果、米国の輸入額はコロナショック前を上回って増加している。これを受けて、日本の輸出(数量ベース)は、リーマン・ショック前を超えて、過去最高水準になっている。こうした状態が続けば、日本の設備投資が盛んになる可能性がある。設備を増強する投資につながれば、人々の行動がより「インフレ的なもの」に変わるだろう。

◆年内にテーパリング開始、米利上げは来年9月以降

 米国の金融政策だが、FRBはテーパリング(量的緩和の縮小)開始を11月のFOMC(連邦公開市場委員会)で決定し、12月にスタートすると予想している。米国の利上げは、早ければ来年9月を見込んでいる。

 来年6月時点の主要指標の見通しだが、円相場は1ドル=113円、日経平均株価は3万3000円を予想している。

 

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