10月末の投信残高64.7兆円=松谷会長「目標を忘れず、慌てず、続ける」
2020年11月13日 09時27分
公募株式投信(除くETF)の純資産総額等の推移
投資信託協会(松谷博司会長)がまとめた10月末の公募投信残高(ETF〈上場投信〉を除く)は64.7兆円となり、昨年12月末(66.6兆円)より1.9兆円減少した。
減少要因を分析すると、「運用増減額(株価や為替の変動)」がマイナス1.8兆円、「資金増減額(投資家の購入・売却)」がプラス2.0兆円、「収益分配額(分配金の支払い)」がマイナス2.0兆円だった。株式等の市況の低下や、分配金の支払いにより投信残高は減少した。ただ、投資家全体でみると、購入額が売却額を上回った。
◆積み立て投資が定着
松谷会長は、現状について「投信を多く保有している高齢の方たちは(資産を運用しながら取り崩す)資産活用の時代に入っているので、投信を解約したり、分配金を受け取ったりしており、その分、投信残高は増えていないように見える」と分析した。
その上で「若い人たちの間では、長期に積み立て投資する資産形成のスタイルが定着してきたことから、いずれどこかの時点でDC(確定拠出年金)やNISA(小額投資非課税制度)への積み立てが、(高齢者の解約等を)上回ってくるだろう」と指摘した。
◆相場下落はチャンス
2、3月に株価が急落したコロナショックの影響については「これまでよりも多くの若い人たちが、相場が大きく下がった局面は(積み立て投資を)スタートする良いタイミングだと考えたようで、投資を始めるきっかけになった」と分析。さらに「少なくとも4、5、6月に相場が急回復したことで、成功体験を積んでもらうこともできた」と話した。
今後については、新型コロナウイルスの感染状況によっては、市況が再び急落するかもしれない。松谷会長は「将来のために積み立てをしているはずなので、『目標を忘れずに、慌てず、続けて』もらいたい」とアドバイスしている。
(了)