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「DCグッドスタート認定制度」を創設=小規模企業のDC導入に助成金-キャピタル・インターナショナルとNPO法人確定拠出年金教育協会

2025年10月30日 08時00分

(左から、小泉氏、斎藤氏、大江氏)(左から、小泉氏、斎藤氏、大江氏)

 米系運用会社キャピタル・インターナショナル(東京、小泉徹也社長)と特定非営利活動法人の確定拠出教育協会(東京、斎藤順子理事長)は、小規模企業に確定拠出年金(DC)の導入を促す新たな制度「DCグッドスタート認定制度」を創設した。

 従業員が10人以上100人未満で、企業型DCを適切に導入・運営している企業を「DCグッドスタート企業」に認定し、1社あたり20万円の助成金を交付する。

◆確定拠出年金、小規模企業への普及が進まず

 企業型DCとは、企業が拠出する掛金を、従業員が投資信託等で運用する私的年金制度だ。60歳以降に引き出して老後資金にする。掛金や運用益は非課税で、受給時も控除を利用できる。企業は従業員が適切に資産運用できるように、投資教育を提供することが努力義務とされている。

 企業型DCの実施状況を見ると、2024年3月末の規約数は5万2033社だ。サラリーマンが加入する厚生年金の適用事業所数(約279万社)と比較すると、導入率は2%未満にとどまっている。規模別に見ると、大企業を中心に導入されており、小規模企業への普及は進んでいない。

◆適切な制度運営に向け、スタート時にセットアップ=斎藤理事長

 斎藤理事長は、小規模企業がDC運営で抱える課題について「DC担当者アンケートに調査を実施したところ、『資産運用に詳しくない人も多く、DCについて社内で相談できる相手もいない』ことや、『さまざまな業務を兼務していて多忙なため、従業員への投資教育が必要なことは認識しているが、検討する余裕がないし、運営予算の申請も大変だ』といった姿が浮かび上がった」と指摘。

 こうした課題を解決する施策として「DC制度をスタートする時に、例えば、年間の継続教育スケジュールを立てておいたり、数年分の予算を計画しておいたり、外部の専門家と連携してサステナブルな運営ができるように『仕組み化』したりしておくことが考えられる。『DCグッドスタート認定制度』を通じて、こうした考えを広めていきたい」(斎藤理事長)と話した。

◆「加入者本位の体制」「誰も取り残されない制度設計」=大江理事

 同協会の大江加代理事兼主任研究員は、DCを適切に運営するポイントについて「スタートの時点で適切な手順と運営体制をセットアップしておくことが大切だ」と指摘した。

 その上で、「DCグッドスタート認定制度」の認定基準の考え方として、①加入者本位の運営が継続される体制 ②誰も取り残さない制度設計 ③加入対象者が理解・納得できる説明 ④導入後の加入者教育の整備-の4点を挙げた。

 具体的には、「第三者的に継続的にサポートしてくれる専門家を確保していること」や、「正社員は全員加入していること」、「制度内容や商品特性、転職時の対応等について十分に説明していること」、「継続教育の予定を立てていること」-などを指摘した。

 今年度は、2025年3月から26年2月にDCを導入した企業を対象に、26年1月5日から2月20日に募集する。3月に認定審査を行い、4月に助成金を支給する。

◆企業にDCがあれば、自動的に老後の資産形成をスタートできる=小泉社長

 キャピタル・グループは、米国の独立系アクティブ資産運用会社だ。1931年の設立で、「投資の成功で人々の人生をより豊かにする」をミッションに掲げている。同社の米国籍ファンドの運用資産残高の内訳を見ると、確定拠出年金など長期の資産形成を目的とした非課税制度の資産が約6割を占めるなど、米国の勤労者の老後の資産形成に貢献している。

 小泉社長は「米国では勤労者の約7割が、確定拠出年金などの税制優遇制度を利用できる状況にあると言われている。普通の勤労者がコツコツと積み立て投資を行い、老後資金に向けて資産形成している」と紹介した。

 その上で「日本社会と勤労者にとって、企業DC制度の普及、特に中小企業への導入の促進が、不可欠だ。企業がDC制度を導入することで、そこで働く労働者は、自動的に老後に向けた資産形成をスタートできる」と強調。

 「キャピタル・グループは、NPO法人確定拠出年金教育協会への資金提供を通じて、小規模企業のDC制度導入を後押しすることで、日本経済を支える中小企業で働く勤労者の皆さまの老後の資産形成に貢献し、日本社会がより良い方向に変わる一歩になることを強く願っている」と述べた。

 

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