来年の日経平均、「昇り竜」相場で4万円超えか=甲辰で期待高まる
2023年12月12日 11時55分
2024年は「十干十二支」では「甲辰(きのえたつ)」に当たる。「甲」は十干では最初の文字で、物事の始まりや成長を意味する。また、「辰」は十二支では唯一の空想上の生き物の竜でもあり、「強運」や「権力隆盛」などを表すとされ、証券業界では「上昇相場への期待が高まる年」(国内証券)と位置付ける。このため、日経平均株価は1989年の最高値を更新し、4万円超えもあり得るとの強気の予想が聞かれる。
過去の辰年の日経平均の平均年間騰落率をみると、上昇率は27.9%に達する。証券関係者は「辰年は十二支の中で最もパフォーマンスが良い」(先の国内証券)と指摘する。三菱UFJモルガン・スタンレー証券の中沢翔ストラテジストは「24年は、天高く昇る竜のごとく、株式市場のさらなる成長を期待したい。過去の辰年相場の平均上昇率を足元の日経平均株価に乗じると、年末には最高値を更新する見通しで、4万円超えもあり得る」との見方を示す。
過去の具体的な例では、52年は朝鮮戦争特需で資源株や軍需株が活況となり、年間騰落率は118.4%の上昇と2倍超の大幅高を記録した。76年はロッキード事件が発覚し政局が不安定化したものの、景気回復から年末には輸出株中心に買われたため、14.5%上昇。88年はバブル景気の中、低金利の恩恵もあってウオーターフロント関連株が活況となり、39.9%の上昇となった。最近では、12年に衆院選で自民党が圧勝して安倍政権が誕生。「アベノミクス」相場で株式市場は上昇基調を強め、22.9%の上昇となった。
一方で、64年は日本が経済協力開発機構(OECD)に加盟した年で、東京五輪の開催もあったものの、企業業績の悪化で翌年にかけて証券不況となり、年間騰落率は0.7%の下落と低迷。00年はITバブルの崩壊でハイテク企業の業績予想の下方修正が相次いだことから、27.2%の下落と厳しい年になった。
また、中井裕幸・中井アソシエイツ代表によると、辰年相場は相場の転換点となるケースが多いことでも知られているという。例えば、52年の翌年3月にはスターリン暴落があり、64年の翌年5月には証券不況の中で山一証券への日銀特融実施が決定された。88年の翌年は資産バブルがピークを迎え、00年にはITバブルが終わった。こういったことから「辰巳天井」という相場格言もあると話す。
中井氏はその上で「24年は米国で連邦準備制度理事会(FRB)による利下げ開始が見込まれ、大統領選挙に向けた混乱もあり得る。国内でも、日銀が春闘後にマイナス金利を解除するとみられており、秋の自民党総裁選までには解散・総選挙も予想される。年後半からの波乱の可能性を頭に入れておく必要がある」と指摘している。(了)