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〔深読み米国株〕2024年も主役は大型IT株か=割高PERに弱点あり

2023年09月15日 19時30分

AFP=時事AFP=時事

 今年の米連邦公開市場委員会(FOMC)は次回(9月19、20日)を含めて残り3回。連邦準備制度理事会(FRB)による政策金利引き上げの打ち止めが市場コンセンサスになりつつあり、投資家の関心は利下げ開始時期に移ってきた。株価の動きを見る限り、投資家の先高期待は衰える様子はない。2024年も相場上昇が続くとすれば、引き続き大型IT株がけん引するのか、出遅れていた他の銘柄に主役が交代するのか見定める必要があるだろう。

 足元の米国株は割高なのか。S&P500指数を1つの個別企業とみなした場合の予想PER(株価収益率)は20.1倍だ。過去20年の平均が15倍台なので、PERが高水準であることに間違いはない。

 ただ、高いPERが売りに直結するわけではない。PERが織り込む1株当たり利益と投資家が判断材料とする1株利益が必ずしも一致しないためで、PERの弱点とも言える。

 予想PER算出に使う1株利益は企業側の開示データやアナリスト予想による12カ月先の予想利益が主流だ。一方、少なからぬ投資家は12カ月よりさらに先の業績推移も考慮して銘柄を選定する。

 将来の景気や企業業績に対する見方が悲観から楽観に転じる場面ではしばしばPERが急上昇し、投資家を萎縮させる。日本の例では、コロナ暴落からの立ち直り局面にあった2021年1月に日経平均の予想PERが26倍を超えて上昇したのが顕著な例だろう。PER算出に使う予想利益はコロナ禍の打撃が大きい期近のデータだったが、投資家の目線がコロナ収束後の業績回復に向いていた時期だ。

 米国では現在、2024年の利下げが予想されている。金利先物が織り込む将来の政策金利を示す「CME Fed ウォッチツール」によると、FRBが誘導対象とするFFレートが今から1年後に引き下げられている確率は63.7%もある。利上げ確率は2.3%しかない。

 FFレートの織り込み通りに政策金利が変更されるとすれば、来秋までに少なくとも1回の利下げがあり、市場には追加利下げの思惑が広がっていることだろう。足元の高いPERが表しているのは株価の割高さではなく、12カ月より先の企業業績に対する期待感ではないか。

 米国株情報を日本語で伝える「バロンズ・ダイジェスト」は9月13日、「ウォール街が愛する2024年の12銘柄」と題する記事を掲載した。この中には、2023年にS&P500やナスダック総合指数を強力に押し上げたアマゾン・ドット・コム(AMZN)、エヌビディア(NVDA)、アルファベット(GOOGL)、メタ(META)が含まれている。当該記事の通りであれば、大型成長株優位の相場が続き、主役交代はまだ先の話になる。(編集委員・伊藤幸二)

 

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