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株式と債券の同床異夢…GDP好調も逆イールド継続で何を買う?

2023年01月27日 16時10分

AFP=時事AFP=時事

 米国の株式と債券は景気の先行きについて正反対のシナリオを織り込んでいる。1月26日は2022年10-12月期のGDP(国内総生産)の上振れが景気の楽観シナリオを補強し、株価は上昇した。しかし、債券市場では長期金利が短期金利を下回る逆イールド状態が一段と顕著になり、深刻な景気後退を前提にした利回り分布を示している。投資家にとって大切なのは、株式と債券のどちらが正しいかの議論より、どちらに転んでも利益を狙える戦略を練ることだろう。

 26日は昨年10-12月期GDPが年率換算で前期比2.9%増と、市場予想(2.6%)を上回った。24日発表された購買担当者景気指数(PMI)の上振れに続く強気材料を受けて、S&P500指数は4060.43に上昇。直近1年の買値の目安となる52週線(4047.34)を上回ったため、含み損を解消した投資家は多かったと推測される。

 一方、債券市場は先行きの景気悪化を警告している。日本時間27日の時間外取引では、10年物国債の利回りは3.5%と、6カ月物TB(財務省割引短期証券)を約1.3%下回っている。10年-6カ月の利回り差は昨年の-0.8%から拡大している。S&P500は昨年末水準を約6%近く上回る好調ぶりだが、株価上昇を横目に、債券市場は景気後退の織り込みを進めてきたことがわかる。

 足元の株価上昇に対して身構える雰囲気も出てきた。米国株の日本語メディア「バロンズ・ダイジェスト」は27日午後、「決算発表を受けた『弱気相場の罠』に注意」と題する記事を配信した。同記事では、北米の投資会社カナコード・ジェニュティのストラテジストが最近の株価上昇と、株高が「ダマシ」に終わった2001年1月相場との類似性を指摘し、「業績の見通しが立たないまま、より強気なモードに移行するというリスクの高い投資行動」に警鐘を鳴らしている。

 一方、1月16日配信の「マーチン・マリエッタ、インフレでもデフレでも有望」では、砕石や砂、砂利など建設・建築骨材を供給するマーチン・マリエッタ・マテリアルズの事業環境や収益力を分析。翌17日の記事「インフレに代わり、デフレが株式市場最大の問題に」では、現地専門家による銘柄選定の切り口を取り上げ、逆風下で利ザヤ拡大が期待できる銘柄として医療機器大手ボストン・サイエンティフィックなど3銘柄を紹介している。(編集委員・伊藤幸二)

 

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