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原油連騰でインフレ長期化か…パウエル対バフェット、軍配は?

2022年06月30日 15時00分

AFP=時事AFP=時事

 著名投資家のウォーレン・バフェット氏が率いる投資会社バークシャー・ハサウェイが6月後半に入って、石油大手オクシデンタル・ペトロリアム株を猛然と買い増している。米連邦公開市場委員会(FOMC)が15日に政策金利の0.75%引き上げを決めた直後から、バフェット氏がアクセルを踏み込んだ形だ。インフレの元凶とされる石油価格の高騰が続くとの見通しがオクシデンタル買いの根底にあるとみられ、インフレ沈静化を急ぐパウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長の積極利上げ路線にバフェット氏が逆張りで挑んでいる形だ。

 バークシャーが米証券取引委員会に提出した文書によると、24日にオクシデンタル株を79万4000株購入し、保有比率は16.4%に上昇した。バークシャーは6月17日と22日にもオクシデンタル株を買っており、FRBによる6月15日の利上げ以降、3回目の大口買いになった。

 米国株情報の日本語媒体「バロンズ・ダイジェスト」は6月29日朝、「バークシャー、オクシデンタルを爆買い」とする記事を配信した。同記事は、バークシャーの平均購入価格を52ドル程度と試算し、「バフェット氏は、オクシデンタル株を50ドル台で買うのがお好きなようだ」と指摘している。6月FOMC以前の買いも含めた買値の平均を52.00ドルとして29日終値59.10ドルを当てはめると、値上がり率は13.65%。含み益は11億ドル近くに膨らんだと推計される。

 オクシデンタルは5月の決算説明会で今期中、自社株買いに30億ドルを投じる方針を発表している。バークシャーに莫大な利益をもたらした米アップルの例を引くまでもなく、「好業績+自社株買い」のセットは相場巧者のバフェット氏の勝ちパターンだ。

 もっとも、FOMCの利上げの影響で米国景気が減速し、原油需要が冷え込めば、オクシデンタル株の強気材料から「好業績」が脱落することになる。10年物米国債の利回りはFOMCによる利上げ決定前日の6月14日の3.498%(リフィニティブ配信データによる)をピークに3%割れをうかがう水準に低下。債券市場はインフレのピークアウト観測を少しずつ織り込みだしている。やや乱暴に分類すれば、米国債市場はパウエルFRB議長の積極利上げ路線の成功を予想し、バフェット氏は利上げでも冷え込まない旺盛な需要によるガソリン価格の上昇トレンドを読んでいることになる。

 2020年には日本の大手総合商社株にバークシャーが大量の買いを入れたことが市場の話題になった。総合商社株はその後の原油高を好感し、今年6月には三井物産や三菱商事が上場来高値を更新するなど騰勢を強めた。直近では総合商社株と原油価格は連動性が高く、原油相場が反落に向かえば米オクシデンタル株と同じように、総合商社株も下落トレンドに入る可能性が高い。総合商社株を保有する株主にとって、信じるべきはパウエル議長かバフェット氏か、悩ましいところだろう。

 

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