マーケットニュース

コロナ禍不安の下、熱帯びる「金」投資

<2020年7月14日>

2020/07/09 10:59

〔商品ウオッチ〕熱帯びる「金」投資=コロナ禍の不安、世界的な低金利

AFP時事
AFP時事

 貴金属の代表格である金(ゴールド)への投資が注目されている。新型コロナウイルスの感染拡大を受け、安全資産とされる金はリスク回避の観点から買われやすい。世界各国が相次いで金融緩和措置を強化し、低金利の長期化観測が台頭する中、利息が付かない金のデメリットが意識されにくいことも支援要因。指標となるニューヨーク金先物相場は上昇し、2011年9月以来の高値を付けている。

 東京証券取引所に上場されている三菱UFJ信託銀行の貴金属ETF「金の果実」シリーズ。金、プラチナ、銀、パラジウムと4商品があり、10年7月の上場から10年が経過した。主力の金を中心に純資産残高が拡大しており、20年2月に4商品合計で、4月には金ETF単体で節目の1000億円を突破した。

 三菱UFJ信託銀によると、金の果実(金ETF)の純資産座高は今年1月末が792億円。その後、3月末が925億円、6月末が1120億円と順調に伸びている。最新の残高(7月8日)は1155億円。同行経営企画部エグゼクティブアドバイザーの星治氏は「金ETFを活用した投資の広がりを感じる。認知度が高まれば、さらに伸びる余地がある」と話す。

 「株式と債券を組み合わせる、伝統的な分散投資の有効性が失われつつある」。スイス系のピクテ投信投資顧問の萩野琢英社長はこう強調する。米国や欧州など主要国の金利が低水準で推移し、債券からの安定的な収入を期待することが難しくなっていることが背景にある。

 実際、各国中銀は新型コロナ感染に絡んだ危機対策で、政策金利の引き下げに踏み切った。また、日米欧の中銀は国債などを買い入れることで市場に資金を供給しており、金利が上がりにくくなっている。

 そうした低金利環境で、金の投資妙味が高まっている。ピクテは既に、金を対象にした投資信託を運用していたが、今年6月に新たなバランス型投信を商品化した。市場環境に応じたリスクプレミアム(価格変動リスクに対する対価)を考慮し、資産配分の比率を決めるのが特徴だ。4月末時点のモデルポートフォリオでは、債券への投資はなく、株式と金だけで構成されている。

 田中貴金属工業は四半期ごとに、資産用の金とプラチナの地金に関する売買状況を公表している。ただ、新型コロナの影響で取引が制限された時期があったことなどから、4~6月の売買量を公開しないという。

 田中貴金属は金地金に関し「詳細は言えないが、6月の売買比率はほぼ5対5。高値圏でも、消費者の購入意欲が根強いことがうかがえる」と指摘する。同社が9日公表した金地金の小売価格(税込み)は、前日比24円高の1グラム=6894円と、過去最高値を更新した。だが、税抜きベースでは6268円で、消費税導入前の1980年1月に記録した最高値(6495円)に届いていない。

 一方、東京商品取引所の金先物の出来高は伸び悩んでおり、4~6月の月間の一日平均出来高は約2万枚にとどまる。こうした中で、東商取の金先物などは大阪取引所に移管され、証券と商品先物を一体的に扱う総合取引所が27日から本格的に稼働する。楽天証券の常務執行役員(株式・デリバティブ事業本部長)、土居雅紹氏は「金相場の値動きを気にしている株式の投資家も多い」と述べ、先物取引の活性化に期待を寄せた。(鈴木・7月9日)