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コロナ融資の後始末とジブリを育てた目利き力

<2021年10月29日>

こんにちは、JFSメールマガジン担当の松田莉奈です。
冷え込む日が続くので、仕事帰りに銭湯に行ってみました。足を伸ばして湯船に浸かると体の芯から温まり、気分も晴れました。帰路での湯冷め対策を見つけ、これからも楽しみたいと思っています。
本日は、弊社金融市場部長による特別コラムをお届けします。

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コロナ融資の後始末とジブリを育てた目利き力

時事
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 「ゼロゼロ融資はコロナ禍がなければ、事業を継続できた企業の資金繰りを支えようというもの。それがコロナと関係なく業績不振の企業にまで貸し込まれ、ゾンビが生まれている。そう遠からず中堅・中小企業を中心に深刻な過剰債務問題が起きるだろう」。ある金融庁長官経験者はこう語る。

 ゼロゼロ融資とは、政府系や民間の金融機関が新型コロナウイルスの影響で経営が悪化した企業に実質無利子・無担保で資金を貸し付ける仕組みだ。国が信用保証協会を通じて保証を与えており、金融機関は貸出先が倒産しても融資をほぼ全額回収できる。最長5年の据置期間は元本返済不要だが、利用者の多い据置期間1年以内の融資は既に返済が一部で始まっており、2022年には本格化する見通しだ。

 融資先の業績が回復していれば返済は滞りなく進むが、長引くコロナ禍を考えると状況は厳しい。大手地銀幹部は「新しい生活様式に対応できず、立ち直れないところもある。ホテルや飲食業では、コロナ前は健全でも中小だとウィズコロナへの対応が容易ではない。これまで頑張ってきてもコロナ疲れでやる気が失せ、『もういいや』と会社を畳む高齢の経営者もいる」と話す。

 一方、ゼロゼロ融資により、本来なら退場すべき企業も生き残っている。帝国データバンクが10月8日に発表した2021年度上半期(4~9月)の全国企業倒産集計によると、倒産件数は2938件で1966年度以来、55年ぶりの3000件割れという低水準。政府の資金繰り支援策が倒産を抑え込んでいるが、「金融機関によっては、コロナ前から経営が悪かった先にまでばんばん融資している」(地銀中堅幹部)といい、「そういう融資先は今後、確実に行き詰まる」(同)とみられている。

 金融庁は8月に公表した2021年度の金融行政方針で、金融機関に事業者の資金繰りに万全を期すと同時に取引先の経営改善や事業再生、事業転換支援を進めるよう求めた。ゼロゼロ融資で過剰債務を抱えた中小企業を安易に切り捨てず、再生を図れというのが金融庁の意向だ。民間金融機関によるゼロゼロ融資は今年3月末で終了しており、経営支援や事業再生はリスクを伴うプロパー融資で企業の将来性を評価して行うことになる。金融機関には「事業性評価」という目利きの力が求められる。

 一日に発表される新型コロナ感染者が25日に日本全国で200人を下回り、第5波の感染拡大は収束傾向となった。このまま収束するか、第6波を迎えるか、予断は許さないが、いずれにしても金融機関はアフターコロナ・ウィズコロナを見据え、ゼロゼロ融資の後始末を強いられる。後始末に失敗すれば、今度はその金融機関が再編淘汰に追い込まれることになるだろう。(金融市場部長・岩下浩明)

【編集後記】ゼロゼロ融資の記事を書いていたら、2000年前後に不良債権問題を取材していた時に住友銀行(現三井住友銀行)の役員から聞いた話を思い出しました。その役員は熊谷組やダイエーといった経営不振企業の再建を手掛け、イトマン処理にも関わった人物です。関与した取引先はことごとく不良債権なのですが、数少ない成功例と自慢した融資がありました。ある時、ひげ面の男がアニメーション事業で融資を申し込んできた。「アニメには詳しくないが、面白そうな夢のある話だ」と融資を決めたところ、その男の会社は世界的なアニメ企業へと成長しました。そう、男の名は宮崎駿、今のスタジオジブリです。「俺が育てた」的なエピソード。当然、夢だけでなく事業性を評価して融資を決めたのでしょうが、その目利き力に感心したのを今も覚えています。(岩下)
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本日もメールマガジンをご覧いただき、ありがとうございました。みなさま10月最後も良い週末をお過ごしくださいね。 松田

 

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