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インフレ・タカ派 米欧で明暗

<2021年10月26日>

こんにちは。JFSメールマガジン担当の春原(すのはら)桃子です。
オンオフ問わず外出する機会が大幅に減っていたため、久しぶりに訪問すると地下鉄の出口を間違えたり、再開発などで周辺の様子がすっかり変わっていたりで、目的地になかなかたどり着けないことがあります。時間に余裕を持って行動するよう気をつけたいです。それでは、本日の記事をどうぞ。

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2021/10/25 11:44

インフレ・タカ派、米欧で明暗=独連銀総裁にも「ドット・プロット」を

AFP時事
AFP時事

 【ワシントン時事=高岡秀一郎】欧州中央銀行(ECB)理事会内でインフレ・タカ派の最右翼だったワイトマン・ドイツ連邦銀行(独中央銀行)総裁が12月末での退任を表明した。「個人的な理由」(独連銀)というが、長年にわたってECBの異例の金融緩和策に懐疑的な見解を示してきただけに、額面どおりに受け取る向きはいない。ユーロ圏でも物価が上昇する中、退任は「金融政策動向への失望」(独紙フランクフルター・アルゲマイネ)との見方が根強い。

 ユーロ圏以上にインフレが高進する米国だが、連邦公開市場委員会(FOMC)内のタカ派がインフレ高止まりを目の当たりにしているのに、何もできないことを苦に辞めたという話は聞かないし、想像もできない。私的な株取引が問題視されて辞任した地区連銀総裁はいるのだが。

 ◇受難のBuBaトップ

 振り返ればワイトマン氏の前任で、今はスイス金融大手UBS会長のアクセル・ウェーバー氏も2011年、任期途中で辞任した。学者出身で筋金入りのタカ派だったウェーバー氏は、ギリシャが債務危機に陥った際、ECBの国債買い取り実施に猛反発。そしてワイトマン氏がドラギ前ECB総裁の後任に取り沙汰されたように、ウェーバー氏もトリシェ元総裁の後任レースで最有力候補だったが、あまりのタカ派色をユーロ圏諸国が嫌い、ウェーバー氏自らが候補を辞退し、独連銀総裁職の辞任も余儀なくされた経緯がある。

 リーマン・ショックから欧州債務危機、そして新型コロナウイルス危機と、国際的な経済危機が連続し、資産購入といった「非伝統的」とされる金融政策が常態化している。20世紀に主要通貨の中で抜群の安定を誇ったドイツ・マルクの番人「BuBa(市場の略称)」の自負を体現しなければならない独連銀総裁は、「しばしば孤独な闘い」(独誌シュピーゲル)を強いられた。

 一方で米連邦準備制度理事会(FRB)のタカ派は、高まるインフレ圧力を背景に自由に羽ばたき始めた。セントルイス連銀のブラード総裁は12日のテレビインタビューで、来年中ごろとされているテーパリング(量的緩和策縮小)の終了を前倒しし、「来年春か夏に利上げできるポジションにいることが望ましい」と主張した。

 またアトランタ連銀のボスティック総裁は12日の講演で、FOMC声明でずっと維持されている物価上昇要因は「一時的」という言葉について、「スタッフとわたしの間では、ここ2~3カ月禁句となっており、言えばびんに1ドル入れなければならない」と「告白」。インフレ圧力は短期的ではないと分析し、「わたしはもう『一時的』という言葉を使わない」と表明した。

 ウォラーFRB理事は19日の講演で、FRB「内部」ながら、「経済が予想よりも強いなら、資産購入終了を急ぎ、予想より早期の利上げ開始に向け22年内に政策余地をつくる」と語った。

 ◇コンセンサスの裏で

 コンセンサスで政策が決まるECB理事会とは異なり、FOMC声明ではメンバーの政策決定に対する投票行動が発表される。反対票が投じられるのは、珍しいことではない。さらにFOMC参加者は四半期ごとの政策金利見通し分布(ドット・プロット)で、自分のドット(予想)を誰にはばかることなく置くことができる。

 9月のFOMCで公表されたドット・プロットでは、タカ派最右翼のドットは22年に0.5~0.75%、23年には1.5~1.75%と、計6回もの利上げを予想していた。

 独連銀のウェーバー総裁は退任前の11年2月、シュピーゲル誌とのインタビューで、FRBやイングランド銀行(英中央銀行)では意見の相違が明かされることについて「模範例だ」とした上で、「政策の根本的な問題に関し、自分の意見を胸中にしまっておくことができなかった」と話した。

 「個人的な理由」で辞任するワイトマン氏は職員宛ての書簡で、ラガルドECB総裁をはじめとするECB理事会メンバーに、「困難な議論でもオープンで建設的な雰囲気」を醸成してくれたことに謝意を表した。だが一方で、「デフレリスクだけでなく、インフレの危機から目をそらさないことが重要だ」と強調、「危機対応は緊急時のみのものだ」と訴えた。

 ワイトマン氏も「ドット・プロット」が欲しかったのではないか。欧州単一通貨ユーロ発足から20年超が経過。マルクの時代は遠くなったとはいえ、かつて欧州連合(EU)のドロール欧州委員長に「ドイツ人はみなが神を信じているわけではないが、独連銀をみな信じている」と言わしめた中銀だ。物価安定と健全財政を志向しがちなドイツ世論と市民の思いをドットで示すことができれば、ウェーバー氏もワイトマン氏も、もう少し楽だったはずだ。

 何よりも、タカ派がいなくなれば、中銀ウオッチは面白みがなくなってしまう。(了)
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本日もメールマガジンをご覧いただきありがとうございました。10月最終週、皆さん元気にお過ごしください。 春原

 

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