SBIレオスひふみ、合弁会社「フィナップ」を設立=来春めど、オンライン上で金融・経済・投資教育を開講
2024年12月18日 12時30分
運用会社グループのSBIレオスひふみ(東京、藤野英人社長)とオンライン教育のスコラ(東京、竹谷祐哉代表取締役)は、合弁会社「フィナップ」(東京、田村啓樹社長)を設立した。来春をめどに、オンライン上で金融・経済・投資教育の講座を開講する。
「体系化された学び」と「個々の学習ニーズに応じた多様なカリキュラム」を有料で提供する方針。金融機関が制作したという「安心感と信頼感のあるクオリティの高いコンテンツ」で、お金について総合的に学べる場にする。田村社長に話を聞いた。
◆金融リテラシーをアップデート
-社名の由来は
田村社長 「Financial literacy(金融リテラシー)」と「update(アップデート)」の頭文字を取り、「日本の金融リテラシーをアップデートする」というメッセージを掲げて、社名を「フィナップ」とした。
ロゴマークには、羅針盤の針と感嘆符をモチーフとして、「金融リテラシーのアップデートを通じて、変化する社会で生きる道を指し示しており、挑戦する勢い、学ぶ驚き、喜び」を表現した。
アップデートには、単に向上させるだけでなく、「社会環境に応じて変化する金融リテラシーに追い付く」という意味を込めている。
◆ファイナンシャル・インクルージョンの実現めざす
-日本の家計金融資産の現状は
田村社長 日本の家計金融資産2000兆円のうち、半分以上を現金・預金が占めており、欧米に比べて、現金・預金の比率が高い。これから「資産形成に取り組むか」あるいは「取り組まないか」といった意識の違いによって、将来の金融資産が二極化し、格差が広がる恐れがある。
SBIレオスひふみは、こうした格差が広がらないように、すべての人が金融サービスの恩恵を享受できる社会を目指して、ファイナンシャル・インクルージョン(金融包摂)を推進している。
また、最近SNS型投資詐欺などを中心に投資詐欺の被害が急増している。実際にSNS上ではSBIレオスひふみ社長の偽アカウントも数多く確認されている。こうしたことが横行している背景のひとつには、金融リテラシーの不足に加えて、正当性のある発信者が持続可能な事業として情報発信を行っておらず、空白が生じているのではないか。
金融機関をバックグランドにもつ事業会社として責任ある立場から、事業として有料でコンテンツを提供することで、こうした課題に一石を投じることが出来るのでないかと考えている。
◆体系化された学び、多様なカリキュラム
-コンテンツの特徴は
田村社長 当社は、四つのポイントから価値ある学習機会の提供を目指している。
一つ目は「体系化された学び」だ。YouTubeやSNSからは、多種多様な情報を無料で入手できるが、受け手の側からすると、断片的な情報になってしまう。体系化された学びを得るには、スクール形式が良いと考えた。
二つ目は「個々の学習ニーズに応える多様なカリキュラム」だ。お金に関する学習ニーズはさまざまだ。年齢、キャリア、ライフプランなどによって異なるので、画一的なカリキュラムでは捉えきれない。オンラインで提供する中で、細かな学習ニーズに応えることを目指していきたい。
三つ目は、「金融機関が取り組む事業としての安心感・信頼感」を大切にしたい。投資スクールなど学びの場は多数存在するが、金融機関による本格的な取り組みとして、お金について総合的に学べる場はなく、希少なサービスになると思う。
四つ目は「コンテンツとしてのクオリティの高さ」だ。スコラ社とレオスがそれぞれに培ってきたノウハウを生かし、質の高いコンテンツを目指すことで、参加者の理解を促し、学びの継続をサポートしていきたい。
フィナップは、運用会社のレオス・キャピタルワークスから独立して金融教育に取り組むことで、「投資」に限らず幅広いお金に関する学習ニーズに応えることを目指していく。将来的には、具体的な行動に移りたい方をサポートできる仕組みを作ることも検討したい。
◆藤野氏が学長、金融・経済・投資教育の講座
―カリキュラムの内容とスケジュールは
田村氏 2025年春ごろをめどに、当社代表の藤野が学長を務める金融・経済・投資教育の講座をオンラインで開講する予定だ。
金融・経済・投資について基本的な教養や精神を学ぶ「レオス ベーシック スクール」に加えて、それぞれの学習ニーズにあったコースを選択してもらう。1スクールあたり30講義程度のボリュームを考えている。コースは、順次追加していく予定だ。