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EY新日本、AIで監査品質を向上=人間と連携、生成AIや大規模言語モデルを活用

2024年12月10日 14時00分

榎本征範常務理事

 EY新日本有限責任法人は、人工知能(AI)を活用し、監査品質の向上に成果を上げている。機械学習を使ってセクター内の類似企業比較や異常値の検知を行い、生成AIや大規模言語モデルで人間とAIが対話しながら不正リスクのシナリオを検討するなどのデジタル監査と、さまざまな品質向上の取り組みにより、有価証券報告書の不正による訂正率をゼロ%へと近づけている。

 榎本征範常務理事(アシュアランスイノベーション本部 パートナー)は、デジタル監査のポイントについて「監査は人間が見て判断する業務なので、『AIの活用』『分析ツールの導入』などのデジタル化を進めることと合わせて、監査業務を担う人間がデジタルツールを使いこなし、監査先企業の幹部と議論してリスクを見極めるなど、人間との役割分担が重要になる」と指摘。「人間とデジタルを掛け合わせることで、監査業務の技術革新を進め、監査先企業のガバナンスの向上に貢献し、情報の信頼性を高めていきたい」と語った。

 同社のデジタル監査「Smart Audit」は、主に四つの方法でAIを活用している。一つ目は「監査リスク評価の同業他社比較ツール」だ。機械学習で予測分析と意思決定を行い、世界中の同業他社のリスク評価と数秒で比較できる。二つ目は「財務・非財務情報の異常検知ツール」だ。機械学習でパターン検出と異常検知を行い、何百万件の仕訳データを分析してさらなる調査が必要になる潜在的な異常値を特定する。

 三つ目は、「財務諸表のレビュー支援ツール」だ。深層学習を使って膨大な財務諸表の草案を短時間でレビューし、正確性や一貫性などの品質チェックを行う。四つ目は、「不正リスクのシナリオ検討支援ツール」だ。生成AIや大規模言語モデルを活用することで、過去10年の600件以上におよぶ第三者委員会報告書から、関連する不正事例に即座にアクセスし要約する。

 

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