「長期投資を根づかせるサポートが重要に」=2年目を迎える新NISAの課題-ウェルスナビの佐藤氏と牛山氏
2024年12月04日 12時30分
ロボットアドバイザー最大手のウェルスナビ(東京、柴山和久社長)は、「新NISA開始1年、40万人のデータから読み解く2年目の課題」をテーマに勉強会を開催した。同社セミナー講師・PRチームの佐藤健氏は、新NISAの課題について「長期投資を根づかせるサポートが重要になる」と指摘した。
また、同社執行役員リサーチ&クオンツの牛山史朗氏は「新NISAは、制度が恒久化されたので、期限がなく、いつでも、いつまでも利用できる。自分のペースで活用していくことが大切だ」と強調した。主なポイントは以下の通り。
◆長期投資を実現する3つのポイント
-新NISA、2年目の課題は
佐藤氏 当社は、長期投資の目安を10年以上としている。新NISAを活用して「長期投資をどう根づかせていくか」が重要であり、「長期投資のサポートをいかに行っていくか」が、2年目の課題だ。
長期投資を実現するため、3つのポイントがある。①投資をやめたくなる場面を知っておく ②取れるリスクに合った投資をする ③余裕資金で投資に取り組む-だ。
◆投資をやめたくなる3つの場面
-「投資をやめたくなる場面」の対応は
佐藤氏 当社のお客さまの入出金のデータを基に、資産運用をやめたくなる3つの場面をまとめた。
一つ目は「資産運用を始めたばかりの頃」だ。相場の影響を受けやすく、リターンがプラスとマイナスを行き来しがちだ。二つ目は「積み上げてきた利益が、急激に減っていくタイミング」だ。例えばコロナショックのときなど、投資を中断したいと考えがちだ。三つ目は、「急激に下落したのち、下落前の水準まで回復したタイミング」だ。いわゆる「やれやれ売り」を出して、資産運用から離れようとされる方が出る。
当社は、こうした場面で「しっかり資産運用を続けましょう」というメッセージを、セミナーやコラムなどで継続的に発信し、お客さまの「長期・積立・分散」の資産運用をサポートしている。
◆ライフステージで変わるリスク許容度
-「取れるリスクに合った投資」とは
佐藤氏 日銀が事務局を務める金融広報中央委員会でも、社会人が身に付けるべき金融リテラシーとして、投資対象や配分比率を見直す必要性を指摘している。
「積み立てを続けて資産を増やす20~50代」、「資産を守る準備をする50~60代」、「貯めた資産を取り崩す60代以降」といったライフステージの変化とともに、株式や債券の割合を変えていくことが必要だ。全自動で資産運用してくれる当社のロボットアドバイザー「WealthNavi」なら、お客さま一人ひとりの状況によって異なるリスク許容度に合わせて、資産配分を変更できる。
◆無理をすると続けられない
-「余裕資金で投資に取り組む」とは
佐藤氏 新NISAは、生涯の非課税枠が簿価ベースで最大1800万円に引き上げられた。セミナーなどでは「非課税枠をフルで活用したい」といったお客さまの声をお聞きすることもある。しかし、非課税枠にとらわれ過ぎて、無理に投資をするのは、適切ではない。
当社が実施したアンケート調査では、NISAで資産運用する目的について、75%の人が「老後の生活資金」と答えている。それであれば「足元の家計をしっかり見直し、『生活予備資金』をしっかり貯めた上で、余裕資金を投資に回しましょう」とお伝えしている。生活予備資金は、一人ひとり異なるが、「最低限の生活に必要な3カ月~6カ月分のお金」と、住宅ローンや教育費など「近いうちに使う予定のあるお金」を合算したものを、考えてみてはどうだろうか。
無理に資産運用をすると、相場が下落したときに心理的なストレスが大きくなって、投資を継続できない恐れがある。当社は「お客さまそれぞれの目的に合った資産運用を、余裕資金で取り組みましょう」というメッセージをこれからも発信していきたいと考えている。
◆資産形成を生活の一部にする
-資産運用に取り組むポイントは
牛山氏 投資というとひと昔前は「一部の詳しい人がやること」というイメージがあったが、今は「普通の人が生活の一部として取り組むもの」になった。あまり気負わず、考え過ぎずに、まずは始めていただきたいと思う。
新NISAは、制度が恒久化され、期限がなく、簿価で1800万円まで投資できる。多くの人にとって、資産運用は「NISAの投資枠で十分」といった感じだろう。「期限がない」ということは、急いでその枠を使う必要もないので、自分自身のペースで、長期的な目線で、じっくり資産形成に取り組んでいただきたいと考えている。
8月5日にあったような相場の急落は、資産運用をしていく上で避けて通れないことだ。予めリスクがあることを踏まえて分散投資を実行し、相場下落を念頭に置きつつ場面でも、冷静に粘り強く、積立投資を継続していただきたいと思う。
当社は、ロボットアドバイザーで「お任せの資産運用サービス」を提供するとともに、しっかりと情報発信することで、お客さまの長期投資をサポートしていきたいと考えている。