日本株式、日本固有の構造変化が中期ドライバーに=企業の事業ポートフォリオ再編に注目=UBS証券の守屋氏
2024年11月20日 15時00分
UBS証券は、来年の経済・市場見通しについて勉強会を開催した。調査本部 株式ストラテジストの守屋のぞみ氏は、日本株式について「日本固有の構造変化が中期ドライバーになり、さらなる上昇が期待される」と指摘、インフレ経済への転換や、企業改革の進展について説明した。主なポイントは以下の通り。
日本経済は、持続的な賃上げを起点としたインフレが進展し、日銀の金融政策が正常化していくだろう。また、所得の増加とともに、国内消費も緩やかに回復していくことを想定している。さらに、インフレ期待が高まることで「貯蓄から投資へ」の流れがより本格化する可能性がある。
企業のコーポレートガバナンス改革は、引き続き、日本株式の重要なドライバーだ。企業改革をけん引する東証は、良い事例、悪い事例を紹介するなど、さまざまな方法で企業の取り組みを促している。また、アクティビスト(物言う株主)が参入し、企業と投資家の対話(エンゲージメント)が拡大している。企業価値向上に向けた経営者の姿勢はいよいよ変化しつつある。
「自社株買い」や「増配」といった株主還元は、来年以降も加速・継続していく余地は十分にある。私が、それ以上に注目しているのは「事業ポートフォリオ再編」の広がりだ。企業の効率性や生産性の向上が期待される。
多くの子会社を抱える総合家電メーカーがコア事業とノンコア事業に事業ポートフォリオ再編した事例は、海外投資家から高い評価を受けている。一方で、事業再編の取り組みが遅れた企業は、株価が割安になり、海外企業から買収提案を受けて経営陣はさまざまな対応を迫られている。
2025年末の日経平均株価は、ベースシナリオとして、4万3000円と予想している。円相場は1ドル=157円と円安傾向が続くだろう。ダウンサイドのリスクとして、米国のトランプ次期大統領が中国だけでなく世界各国に対して関税を引き上げた場合や、米国経済が景気後退期に入った場合は、世界経済が減速し、各国の株式市場が軟調になるだろう。