投信つみたての「PayPayおまかせ運用」をスタート=毎日500円、2ファンドから選択-簡単・迷わず投資家デビュー
2024年10月03日 12時00分
モバイル専業証券のPayPay証券は2日、投信積み立てサービス「PayPayおまかせ運用」の提供を始めた。キャッシュレス決済アプリ「PayPay」内で、数ステップで簡単に「毎日500円の投信積み立て」を設定できる。また、同証券が厳選した2ファンドから選択する仕組みにしており、銘柄選びの負担を軽減した。どちらもNISA(少額投資非課税制度)の対象ファンドだ。
サービス開始に当たり、PayPayの安田正道副社長、PayPay証券の番所健児社長、米系運用会社キャピタル・インターナショナルの小泉徹也社長が記者会見した。主なポイントは以下の通り。
◆金融のスーパーアプリを目指す
-PayPayの現状は
安田氏 PayPayのサービス開始は2018年10月で、サービスインから6年になる。登録ユーザー数は6500万人で、このうち本人確認済みユーザーは3000万人を突破した(8月10日時点)。また、8月には資金移動業者として初めて、給与デジタルのライセンスを取得した。すでに一部企業で利用が始まっており、年内に本格的に提供を開始する。給与をPayPayで直接受け取ることで、PayPayの経済圏により入りやすく、使いやすくなる。
PayPayのアプリを開くと、ファースト・ビューの画面で、決済サービスだけでなく、銀行、保険、クレジットカード、資産運用、ポイント運用につながっている。当社は「金融のスーパーアプリ」を目指している。
ポイント運用は、決済でたまったポイントを運用して、資産運用の疑似体験ができるサービスだ。業界最大規模の1800万人が利用している(9月時点)。実際にお金を使った資産運用ができるPayPay証券の証券口座数は120万口座超(同)で、急速に拡大している。100円から投信や日米株を購入できることや、UIUX(ユーザー体験・接点)の使いやすさなどが評価されている。
◆全部おまかせで「つみたて投資」
-新サービスの概要は
安田氏 PayPayアプリから直接、全部おまかせで「つみたて投資」ができる新サービス「PayPayおまかせ運用」を開始した。キャピタル・インターナショナルの「キャピタル世界株式ファンド(DC年金つみたて専用)」と三菱UFJアセットマネジメントの「eMAXIS/PayPay証券 全世界バランス」から一つを選んで、積み立て投資ができる。
さきほど、「PayPay給与受取」サービスの話をしたが、例えばPayPayで受け取った給与の一部を奥さまやお子さまに送金し、残りの一部は「PayPayおまかせ運用」を利用して自動で資産運用をすることもできるだろう。PayPayは、決済サービスを軸として金融のエコシステムをより強いものにしていきたいと考えている。
◆NISA口座の新規開設数、業界3位
-PayPay証券の現状は
番所氏 PayPay証券は、国内最大のフィンテックのプラットフォーマーであるPayPayを活用して、ユニークなビジネスを展開している。これから投資を始める人に注目し、分かりやすいインターフェースで、お買い物をするように簡単に証券取引ができる点が特徴だ。
当社は今年1月から、新NISAの取り扱いを始めた。後発にもかかわらず1-6月合計のNISA口座の新規開設数は30万件で、楽天証券、SBI証券に次いで業界3位に入った。当社のサービスが、初心者のニーズにしっかり応えてきた成果だと思う。初心者でも簡単で迷わないUIUXと、厳選された銘柄、100円から毎日あるいは毎週や毎月単位でできる便利な積み立て機能が、評価されたのだと思う。
◆ワンコインを毎日積み立てる
-新サービスの特徴は
番所氏 本日スタートした「PayPayおまかせ運用」は、「なかなか投資に踏み出せない」「何を買えばいいか分からない」という初心者の声に応えて設計した。このサービスは「投資知識」や「銘柄選び」、「まとまった資金」が必要ない。
「毎日500円、つまりワンコインを『PayPayおまかせ運用』でつみたてよう」を、コンセプトにしている。二つのファンドからどちらかを選んでもらい、「おすすめの設定」として初期設定されている「毎日つみたて」と「つみたて額の500円」を確認してもらうだけだ。毎日500円は、月額にすると1万5000円になる。資産運用を初めてスタートする人にとっては十分な金額だろう。
「PayPayおまかせ運用」の設定は、「方針を選ぶ」「金額を確認する」「設定内容を確認する」「つみたて設定を完了する」の4ステップでできる。毎日利用するPayPayの決済アプリの中にあるので、身近な存在に感じてもらえるのではないか。
このサービスで提供する2ファンドは、お客さまのニーズを踏まえて厳選した。全世界の株式に分散投資する「キャピタル世界株式ファンド(DC年金つみたて専用)」と、世界のアセットに分散投資する「eMAXIS/PayPay証券 全世界バランス」だ。「収益を重視」か、「安定を重視」か、2ファンドの違いを分かりやすくアピールしている。
当社はこのような取り組みにより、「資産運用を誰にとっても当たり前にし、資産運用の垣根を引き下げていきたい」と考えている。
◆投資の成功で人生をより豊かにする
-キャピタル・グループとは。
小泉氏 キャピタル・グループは1931年に米国で創業した。90年を超える歴史を有する独立系資産運用会社だ。約354兆円の資産を運用し、グローバルで450人超が運用に従事している(2023年12月末)。東京には1982年にオフィスを開設した。日本でのビジネスは米国以外で最大だ。
当社のミッションは「投資の成功で人々の人生をより豊かにする」ことだ。米国のビジネス状況を見ると、キャピタル・グループの米国籍ファンドの運用資産残高では、例えば、確定拠出年金など、長期の資産形成を目的とした非課税制度からの資産が、全体の約7割を占めている。長期の資産形成を目指す資金の受け皿として、多くのお客さまから支持を集めている。
当社は、米国籍のアクティブファンドの残高でトップとなる15%のシェアを持つ、世界屈指のアクティブ運用会社だ。米国籍アクティブファンドの残高上位20本のうち、13本がキャピタル・グループのファンドだ(2023年12月末)。
◆51年の運用実績と約18兆円の資産残高
-新サービスで提供するファンドは
小泉氏 「PayPayおまかせ運用」で提供する「キャピタル世界株式ファンド(DC年金つみたて専用)」の運用戦略は、米国籍アクティブファンドで残高6位の「ニューパースペクティブ・ファンド」のものだ。このファンドは1973年の設定で、51年の運用実績を持つ。資産残高は約18兆円になっている。
「ニューパースペクティブ・ファンド」の円ベースの運用実績だが、1973年3月を100として指数化すると、2023年12月末では、コスト控除後で1万4182ポイントとなっている。同じ期間の全世界株式のインデックスは3364ポイントだった。
1983年12月末から40年間、毎月1.5万円を積み立てたケースをシミュレーションしたところ、投資総額(720万円)に対して、「ニューパースペクティブ・ファンド」で積み立て投資をすると9011万円になった。全世界株式のインデックスファンドでは4674万円だった。毎日500円という小さな金額でも、投資を生活の一部として長期に継続すると、大きな資産となることが期待できる。
◆投資を日常生活に組み入れる
小泉氏 当社は米国で、一般的な勤労者が豊かな人生や老後を過ごし、夢を実現することをサポートしてきた。日本のお客さまにも、長期の投資を通じて人生を豊かにする機会を、今まで以上に提供していきたい。「PayPayおまかせ運用」によって、コンビニエンスストアでお茶やおにぎりを買うのと同じように、「投資が日常生活の一部として自動的に組み込まれている社会」に変えていくことが、とても大切だと思う。