インド経済の成長トレンド変わらず=下院総選挙、モディ政権の継続で-HSBCアセットのマンガート氏
2024年06月11日 08時00分
HSBCアセットマネジメント(インド)の株式部門最高投資責任者(CIO)ベヌゴパル・マンガート氏は、「インド~次なるステージの準備が整う~」をテーマに、インド経済と株式市場の動向について講演した。主なポイントは以下の通り。
-下院総選挙の結果は。
マンガート氏 インド下院総選挙は、モディ首相率いるインド人民党(BJP)が議席数を減らしたものの、同党を中心とする与党連合が過半数を上回る議席を維持し、モディ政権が第3期目に突入する見通しだ。安定した与党連合が続くことで、インド経済の成長トレンドは変わらないと見ている。
野党と調整が必要な場面もあるだろうが、強力で安定した政権は長期的な視点から政策や計画を実行できる。改革が継続され、株式市場は堅なリターンが期待される。
-インドの経済成長の見通しは。
マンガート氏 インドは今後5年超にわたり名目GDP成長率で2桁の伸びを記録することが見込まれている。国際通貨基金(IMF)や世界銀行は、インドが今後5年で米国や中国に次ぐ第3の経済大国になると予想している。
経済活動は堅調で、設備稼働率は長期的な平均を上回っている。このことが次の設備投資サイクルの原動力になると予想している。太陽光発電施設や海底トンネル、鉄道橋など、政府は成長戦略の核となるインフラ投資を継続していく方針だ。
-インドの財政状況は。
マンガート氏 政府は、財政の健全化に重点を置いている。コロナ禍により財政赤字は拡大したが、2025年度は対GDP比で5.1%(2024年度見通しは同5.8%)とする予算案を発表した。政府は、好調な経済成長のもとで、さらに財政健全化を進める方針だ。
-インドの人口動態は。
マンガート氏 インドでは、生産年齢人口の増加が国内の消費を支え、経済を成長させるだろう。総人口に占める生産年齢人口の比率が上昇する「人口ボーナス期」は、2055~56年まで続く見通しで、世界のどの国よりも長期にわたる。
-企業業績とバリュエーションは。
マンガート氏 企業業績のサイクルは好転の兆しを見せている。一方、インド株式のバリュエーションは、10年平均よりやや低い水準で取引されており、依然として魅力的だ。