日本企業のガバナンス改革を評価=「日はまた昇る」を実感-米ファースト・イーグルのマクレナン氏
2024年06月07日 08時30分
米国の独立系運用会社ファースト・イーグル・インベストメンツのグローバル・バリュー・チーム共同責任者兼ポートフォリオ・マネージャーのマシュー・マクレナン氏らが来日し、都内で記者会見した。
◆コーポレートガバナンスが改善=マクレナン氏
マクレナン氏は、日本経済について「『日はまた昇る』ことを実感した。日本企業のコーポレートガバナンスが、個々の企業の努力と東証の要請により、どんどん進んでいくと考えている」と述べた。
同氏は、日本株上昇の要因について①これまで中国に投資されていた資金の一部が日本市場に投資されている ②財政により強力な景気刺激策を行っている ③低金利と円安が流動性を高めている-を挙げた。その上で、今後、金利上昇が見込まれる中で「規律ある財政運営に向けて対策を行うことが重要だ」と指摘した。
◆自社株買いや事業見直しなど進展=ヘック氏
クリスチャン・ヘック氏(ポートフォリオ・マネージャー兼リサーチ担当アソシエイトディレクター兼シニアリサーチアナリスト)は、日本企業の取り組みについて「手元資金を厚く持っていた企業が、自社株買いを行い、資本効率を改善させている。また、幅広く展開していた事業ポートフォリオを見直したり、ROIC(投下資本利益率)などの経営指標を導入したりして、コーポレートガバナンスを大きく前進させている」と評価した。
その上で、日本株市場の状況について「大型株を中心に上昇してきた。小型株との間に二分化が見られる」と分析。「ワールドクラスの競争力を持った優れた企業をボトムアップ調査で見つけ出し、選択的に投資して行くことが大切だ」と述べた。
◆株価上昇につながる改革も=バー氏
アラン・バー氏(ポートフォリオ・マネージャー兼シニアリサーチアナリスト)は、「強力な事業基盤に加えて潤沢なフリーキャッシュフローを持つ企業の中には、持ち合い解消で売り出された株式を購入し、自身も自社株買いを行うことで、発行済み株式が減少して株価が上昇するという、投資家にとって理想的な動きになっているところがある」と指摘した。
ただ「体力の弱い企業が自社株買いを行っても、株価を下支えするだけで、本業のビジネスには良くないので、しっかりと企業の特徴を見極めることが大切だ」と述べた。
ファースト・イーグル・インベストメンツは、ニューヨークに本社を置く、非上場の独立系運用会社だ。1864年の設立で、約1380億ドル(2024年3月末現在)の資産を運用している。日本では30年以上の投資実績がある。