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〔マーケット〕米国の成長率見通しを上方修正=ドル高止まり、日米株高を予想-日興アセット・神山氏

2024年04月17日 12時15分

日興アセット・神山氏

 日興アセットマネジメントは、四半期ごとにまとめる経済見通し「グローバル・フォーサイト」の2024年春号をまとめた。神山直樹チーフストラテジストは、米国経済について「24年の成長率見通しを2.8%に引き上げた。米国の高金利は続き、ドル高が継続するだろう」と予想した。また、中東情勢については「リスクではあるが、現時点では世界経済に大きな影響を与えるとは考えていない」と指摘した。主なポイントは以下の通り。

◆米国経済

 米国の非農業部門雇用数は緩やかに増加し、小売売上高も上向きに推移すると予想している。こうした中、米国の輸入は高い水準を維持すると見ており、日本や欧州、中国等の輸出に対して上向きの影響が続くことを確認しつつある。

◆日本経済

 日本の実質輸出は、リーマン・ショック前のピークを抜き、高い水準のまま横ばいの状態が続くことが予想される。ヒト・モノ・カネが余剰から不足に転じたことで、賃金上昇、設備投資の追加、金利上昇が、安定的に起こることが期待される。

 小説「アルプスの少女」のハイジの友だちのクララは、車いすが壊れたことをきっかけに自ら立ち上がれることに気づいた。日本経済は、ヒト・モノ・カネの不足をきっかけに、自分が健康体になっていることに気づき、設備や人を増やし始めている。

 日本経済の次のポイントは「歩くこと」であり、筋肉が必要だ。これから始まる本格的な賃上げや設備投資の継続が大切だ。また、次の景気後退局面に備えて、雇用流動化の仕組みを整え、成長分野に人材が移動できるようにしておくことが重要だ。

◆米国の金融政策

 米国では賃金上昇率が穏やかになってきたことから、米連邦制度理事会(FRB)は4-6月にFFレート誘導目標を5.50%から5.25%に引き下げると予想している。ただ、再び賃金が上昇することなども懸念されるため、さらなる利下げは行わず、その後は来年3月まで横ばいで推移すると見ている。

◆日本の金融政策

 日銀は、賃金上昇率が2%を超えて推移する可能性が高まったことで、マイナス金利政策を解除した。人手不足と賃金の上昇が持続し、物価上昇率がある程度のペースで継続すれば、日本の政策金利も緩やかに上昇するだろう。

 無担保コール翌日物金利は、現在の0.10%から、7-9月に0.25%、来年3月末に0.50%に上昇すると予想している。また、10年国債利回りは、9月末に1.00%、来年3月末に1.20%と見ている。

◆為替、株価の見通し

 来年3月末の円相場は1ドル=154円と予想している。日米の金利差よりも、米国経済の強さが評価されるだろう。日経平均株価は4万5000円、ニューヨーク・ダウ工業株30種平均は4万2000ドルと見ている。

 日経平均株価が上昇する背景だが、米国経済が予想以上に強い中、インフレがある程度抑え込まれることで、米国の消費が伸びるだろう。日本の輸出は好調を維持、ドル高が継続することで、企業利益の上方修正が見込まれる。

 

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