新NISA、スタートまで残り9カ月=抜本改革で利便性向上、投資枠は大幅拡大
2023年03月29日 08時00分
新しい少額投資非課税制度(NISA)は、来年1月のスタートまで残り9カ月余りになった。制度が恒久化され、使い勝手が大幅に向上した新制度を周知し、投資家拡大に結び付けていくことが、金融・証券界のこれからの課題だ。
三菱UFJ国際投信の大島良介 商品プロモーション部 推進グループ グループマネジャーは「NISAのモデルとなった英国の投資優遇制度『ISA』は、2008年に制度が恒久化されると、それから約5年間で残高がほぼ倍増し、その後も拡大傾向が続いている」と指摘。「日本のNISAはまだ利用率が低いので、十分に拡大余地があり、制度の恒久化が残高拡大に結び付くだろう」と分析している。
岸田文雄首相は、資産所得倍増プランの中で、「5年間で、NISA総合口座数を現在の1700万から3400万に倍増させる」「5年間で、NISA買付額を現在の28兆円から56兆円に倍増させる」ことを目標に掲げており、これとマッチした動きになることが期待される。
以下に、新NISAのポイントをまとめた
◆無期限化、恒久化
新制度は、非課税保有期間が「無期限化」され、口座開設期間が「恒久化」された。これにより、投資家は時期を選ばず、生涯にわたる長期投資を実行できる、また、一つの制度の中に「つみたて投資枠」と「成長投資枠」が設定され、両方を併用できる。
◆投資枠は年間360万円
年間投資枠は「つみたて投資枠」が年間120万円、「成長投資枠」が同240万円と大幅に拡充された。二つの制度を活用することで同360万円投資できる。現状は、「つみたてNISA(年間40万円)」と「一般NISA(同120万円)」のどちらか一方しか選択できず、投資枠は小規模だ。
◆生涯で1800万円
生涯に投資できる非課税保有限度額の総枠は1800万円だ。このうち「成長投資枠」で1200万円を投資できる。一般家庭の金融資産をカバーするのに十分は金額になっている。限度額は、簿価(購入価格)で計算され、売却した場合は「枠の再利用」が認められる。簡素で分かりやすい制度になっている。
◆利用できる投資信託に制限
「つみたて投資枠」で投資できるファンドは、現行の「つみたてNISA」で利用できる、長期の積立・分散投資に適した投資信託だ。一方、「成長投資枠」は、投資信託のほか、上場株式や上場投資信託(ETF)などに投資できるが、整理・監理銘柄の株式や、信託期間20年未満の投資信託、高レバレッジ型や毎月分配型の投資信託は除外された。
金融庁は、新しいNISA制度の概要について、ホームページで紹介している。新旧のNISA制度を表にまとめ、「よくある質問」をQ&A方式で掲載している。
【金融庁】新しいNISA
https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/about/nisa2024/index.html