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キャピタル、法律案でコンテスト=福島大と岡山大が最優秀賞に-長期積立投資を定着させるには

2023年03月23日 08時00分

小泉徹也社長

 米系大手運用会社のキャピタル・インターナショナルは、「長期積立投資を定着させるための法律案」をテーマにコンテストを開催した。最優秀賞には、福島大学の「子育て世帯の資産形成を支援する法律案」と岡山大学の「ゲームを通じて高校生に投資教育を実践する法律案」が選ばれた。小泉徹也社長に大学で実施した授業やコンテストについて聞いた。

◆5大学で授業-老後の社会保障制度と資産形成

-キャピタルの取り組みは。

小泉氏 昨年、琉球大、岡山大、信州大、福島大、岩手大で「老後の社会保障制度と資産形成」をテーマに授業を行った。第1部で慶應義塾大学法務研究科(法科大学院)教授の森戸英幸先生が「引退後の所得保障システムの全体像」について説明し、公助・共助に加えて、自助による資産形成の重要性について話した。第2部は私が「個人の資産形成と資産運用会社の役割」について、日米の比較などを交えて解説した。

 その後「長期積立投資が浸透し、エキサイティングな老後を過ごすために」をテーマに法律案を作成してもらい、コンテストを実施した。コンテストには10グループから応募があり、選考の結果、福島大と岡山大の法律案を最優秀賞に選定した。この2案については、大学生が国会議員にプレゼンテーションし、議論する場を設けた。

◆「老後に向けた資産形成」「夢の実現」をサポート

-取り組みの狙いは。

小泉氏 当社は、「普通の人が『長期・継続投資』を実行することで幸せな老後を迎える社会」を日本で実現したいと考えており、「『長期・継続投資』を身近な存在にすること」を推進していきたいと思っている。

 大学生の皆さんは近い将来、社会人になり、企業等で働く。そこに「確定拠出年金(DC)」があれば加入者になるだろうし、少額投資非課税制度(NISA)で投資を始める人もいるだろう。こうした制度を通して「老後に向けた資産形成」や「夢の実現」をサポートするサービスを提供したいと考えている。また、こうした制度に参加するように彼らの背中を押してあげたいと思っている。

◆「自動化」がポイント=ゴールは自分で設定

-日本で資産形成の拡大に必要なことは。

小泉氏 資産形成に関するさまざまなことを「自動化」していくことだ。資産形成をサポートする制度に自動的に加入し、自動的に投資を始めて継続できるような機会を、もっと作るべきだと考える。

 例えば、DCを用意している企業に入社すれば、自動的にDCに加入できる。「つみたてNISA」に加入すれば、自動的に月々の積立投資を継続できる。投資商品についても、それぞれの加入者に適合したポートフォリオを自動的に組むサービスが提供されている。

 ただ、一つ気を付けなくてはいけないのは、「自分のゴールをどこに設定するか」「お金を使って何を実現したいのか」といった目標については、各人で考えて、明確にしておくことが必要になることだ。

 例えば、自動車はどんどん自動運転が進化しているが、「どこに行くか」という目的地を設定してやらないと、動かすことができない。資産運用についても「自分の夢は何か」「何をやりたいか」をしっかり考えてほしいと思っている。

◆投資は豊かな未来をつくる

-投資について知ってほしいことは。

小泉氏 自分が投資したお金が、社会にインパクトを与え、より良い未来社会の構築に貢献することだ。投資資金が、企業の成長を促し、社会を良くしていく。投資と社会の成長の好循環について学生に説明した。

 例えば、企業の生み出す技術革新で、スマートフォンが普及し、インターネットを通じてたくさんの人とコミュニケーションできるようになった。人々の生活を豊かにする製品を生み出していく企業に、お金が投資されていることを知ってもらうことで、投資を身近に感じてもらうことができると思う。

◆投資が身近に感じられた

-学生たちの投資のイメージは変わったか。

小泉氏 学生の投資に対するイメージは最初、非常にネガティブだった。「投資はリスクがあって怖い」「投資をしている人が回りにいない」「投資はお金持ちがすることだから、自分にはお金がないし関係ない」「投資は遠い存在だ」といった声が聞かれた。また、老後に対して漠然とした不安を持っていた。

 ただ、授業を受けた後には「資産形成を身近に感じられた」「積立であれば、月々少額でも始められることが分かった」「投資が怖くなくなった」といった感想を聞くことができて、うれしく思った。また、「投資には未来社会を創る力があるという考え方が印象的だった」「成長する企業に投資することが、自分たちの社会をより豊かにすることを知り、投資の重要性を感じた」などの感想も聞かれた。

◆職場で資産形成を普及させるには

-今年度の予定は。

小泉氏 今年は、全国の4大学で授業を行う準備を進めている。今回は「職場で資産形成や金融教育を普及させるためには」をテーマに、法律案のコンテストを行いたいと考えている。

 

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