長く働く、老後準備を積み増す=インフレ率の上昇で-フィデリティ調査
2023年02月10日 09時00分
フィデリティ・インターナショナルは、金融行動や老後準備に関するグローバル調査をまとめた。それによると、インフレが強まる中、働く期間を長くしたり、積み立てを増やしたりする動きが見られた。
日本の50歳以上の人を対象に「この6カ月間でリタイア時期に対する考えは変わったか」と尋ねたころ、全体としては大きな変化は無かったものの、60~69歳では「リタイア時期を遅らせる」が3ポイント増えて18%に、「早める」は2ポイント減少して7%になった。
リタイア時期を遅らせる理由についても、昨年1位だった「働くことが好きだから」が2位に転落し、「思ったほど老後資金がなかったことに気づいた」がトップになった。
また、老後に向けた積立金額について「増やした」と回答した人は、20~38歳で昨年より2ポイント増加して25%に、55歳以上で同1ポイント増加して15%になった。
世界の動きを見ると、リタイア時期を遅らせる人が前年の17%から22%へ増加した。この調査は2021年に開始したもので、今回が2回目。世界17カ国の2万人を対象に、昨年7~8月に実施した。
フィデリティ・インスティテュート首席研究員の浦田春河氏は「インフレは人々の貯蓄行動に影響を及ぼしている。老後資金の不足を招くことから、リタイア時期を遅らせる人が世界全体で前年比5ポイント増加した」と指摘した。
日本については「リタイア後の生活費がどれくらいになる見込みか、イメージをつかめていない人が46%もいる。こうしたリテラシーの欠如も、諸外国と比べてリタイア時期の変更が少ない遠因になっているかもしれない。しかし、欧米に遅れて日本でもインフレの影響が色濃くなってきていることから、今後はリタイア時期を遅らせるという人が増える可能性はある」と話している。
【フィデリティ投信】フィデリティ・グローバル・センチメント・サーベイ2022
https://retirement.fidelity.co.jp/well-being/global-sentiment-survey/