DC・NISA、勤労者の過半数が利用=フィデリティ調査
2021年02月08日 12時15分
フィデリティ・インスティテュート退職・投資教育研究所(野尻哲史所長)が昨年10月に実施した「ビジネスパーソン1万人アンケート調査」によると、会社員や公務員として働く人の過半数が、確定拠出年金(DC)や少額投資非課税制度(NISA)などの投資優遇制度を利用していることが分かった。
具体的には、企業型と個人型(iDeCo)を合わせたDC加入者は、回答者の38.6%。一般NISAとつみたてNISAの加入者は31.7%だった。重複して加入している人を調整すると、DCとNISAのどちらか一つでも口座を開設している人の割合は51.8%だった。
このうち、DC加入者について、老後に向けた資産額「退職準備額」を尋ねたところ、企業型の加入者では平均806万円、個人型では同925万円で、平均年収の1.06~1.23倍を用意していることが分かった。DCに加入していない人の退職準備額は同577万円で、平均年収の0.92倍にとどまっており、DC加入者はより資産形成への意識が高いことがうかがえる。
◆退職準備「加速させることが必要」
ただ、野尻所長は、この調査結果について「DC加入者の退職準備は進んでいるとはいえ、あと一歩進める必要がある」と、注意を喚起している。フィデリティ・グループは2018年、年齢ごとに退職準備額を年収と比べた『退職準備の指標』を主要国で公表した。公的年金や退職世帯の家計収支などを調査した上で、日本については「30代で年収の1倍、40代で年収の2倍、50代で年収の4倍、60代で6倍」という目標を示した。
野尻所長は「今回調査でDC加入者の平均年齢は41.0歳だったので、『年収の2倍』が、計画線上になる」と指摘した上で。「今後は、資産運用を積極化させることで、資産形成のスピードを加速化させることが必要だろう」とアドバイスしている。(了)