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〔マーケット見通し〕ゴルディロックス再来せず、分散投資が重要に-UBS証券・青木氏

2020年12月07日 15時03分

UBS証券・青木氏
青木大樹UBS証券・日本地域CIO(最高投資責任者)兼日本経済担当チーフエコノミスト

 UBS証券の青木大樹・日本地域CIO(最高投資責任者)兼日本経済担当チーフエコノミストは、「コロナショックからの回復と新常態~新しい出発~」をテーマに「2021年の展望と戦略」を発表した。この中で、来年の市場について「(値動きの小さい)ゴルディロックス(適温)相場の再来はないだろう」と注意喚起した。その上で「新しい出発で(相場をけん引する)ドライバーが変わることから、来年は分散投資がますます必要になる」と強調した。

 青木氏は、(チャイナショック後の2017年のような)変動率の小さな相場展開にならない要因として、新しい生活様式が常態化し、人々の価値観が変化する中で、①業種や企業間で勝ち組と負け組の格差が生まれる ②財政支出が大幅に拡大したことで市場参加者の金利やインフレ懸念に対する反応がより敏感になる-ことを挙げた。「ワクチンの普及で経済回復のテンポや早まれば、長期金利が上昇するだろう。たとえ大きな上昇幅でなくても、株式市場にインパクトになりうる」と指摘した。

 来年の市場のドライバーについては、「今年、大きく上昇した米国の大型株は、既に企業利益の回復を大きく織り込んでいる」とした上で、「米国であれば小型株、さらに欧州や英国株式、新興国やアジア株式といった、まだ十分に企業利益の回復を織り込んでいないところでの株価上昇を予想している」と指摘した。

さらに、来年の投資戦略として「これからスタートする『変革の10年』をどう見ていくかが重要だ」として、次の創造的破壊をもたらす技術として「5G」「フィンテック」「ヘルステック」「グリーンテック」を挙げた。特にグリーンテックについては、再生可能エネルギーの大幅な拡大がなければ、国際エネルギー機関(IEA)が掲げる持続可能な成長シナリオを実現できないことから、「グローバルに大きな投資機会になっていくだろう」と指摘した。(了)

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