AI革命、まだ初期段階=三井住友DSアセットの「グローバルAIファンド」が10周年-米ヴォヤIMのトーマス氏が来日
2026年10月02日 07時00分

三井住友DSアセットマネジメントの世界株投信「グローバルAIファンド」は、設定から10年を迎えた。シリーズの運用残高は8月末時点で8000億円を超え、良好なパフォーマンスを残している。
このファンドを実質的に運用する米国のヴォヤ・インベストメント・マネジメント・カンパニー・エルエルシーのポートフォリオ・マネージャー、セバスチャン・トーマス氏がこのほど来日した。
トーマス氏は、「AI革命は、まだ初期段階だ」と指摘、「AIエージェントやフィジカルAI、さらにその先にはAGI(汎用人工知能)が想定されている。AIは私たちの生活の一部として定着し、さらに快適な社会を実現していくだろう」と述べた。
◆機械学習が進展、生成AIが登場
-これまでのAIの歩みは
トーマス氏 このファンドは2016年9月に設定され、10周年を迎えた。設定当時は、機械学習やディープラーニングが急速に進展し、第3次AIブームが始まった。AIの囲碁プログラム「アルファ碁」が世界最高水準の棋士に勝利するなど、センセーショナルな出来事があり、AIが世界に変革をもたらし始めた。
大きな転換点となったのが、OpenAIが開発した対話型の生成AI「ChatGPT」の登場だ。さらに、データセンターなどのAIインフラへの投資も活発になった。
◆AI革命はまだ初期段階
-AIの今後の進展は
トーマス氏 この10年間でAIは飛躍的に発展を遂げたが、これからのAIのさらなる進化を考えると、AI革命はまだ初期段階だと捉えている。
現在は、AIエージェントが立ち上がり出したところだ。設定された目標に対して、AI自身がゴールを設定し、プロセスを考えて、最適な答えを出してくれる。
さらに、フィジカルAIも動き始めた。AIの高度な判断能力と、ロボットや自動車などの物理的な機能を組み合わせた技術だ。海外では、ロボットタクシーが登場している。また、工場や物流センターでのAI活用や人型ロボットの開発が進んでいる。
さらにその先には、AGI(汎用人工知能)が想定されている。人間並みの知能を持ち、人の感情や意図をくみ取ることも可能になると言われている。この段階では、新薬の開発や科学技術の発明などに、よりAIが貢献するだろう。
◆生産性を高め、人手不足を改善
-AIが社会・経済に与える影響は
トーマス氏 短期的にはデータセンターの建設が、新たな雇用を生み出した。また、生産性の向上にも貢献しており、例えば、人型ロボットが医療施設に導入され、また家事を手伝うことで、人手不足に対応してくれるだろう。
AIには、まだまだ私たちの生活に浸透する余地があり、いろいろな産業にメリットをもたらすだろう。例えば、交通の分野では、無人タクシーが広がることで料金が下がり、自動車を保有しないことによって生活コストも抑えることができるだろう。一方で、手軽な乗り物を活用して旅行をする人が増えれば、経済を活性化する効果も期待される。
◆多くの分野に広がる投資機会
-「グローバルAIファンド」の運用方針は
トーマス氏 このファンドは、ファンダメンタル・リサーチをベースに、ボトムアップで銘柄を選定している。その際、三つのカテゴリーに分類してAI企業を分析している。
具体的には、半導体や電子部品などの「AIインフラ企業」、高度な自動化やコスト削減を実現するAIアプリケーションを開発する「AI開発企業」、ビジネスプロセスにAIを導入して成長する「AI活用企業」だ。これらの企業は多くの分野にまたがり、投資機会は拡大している。
銘柄選定に当たっては、収益へのインパクト、成長性、利益率の改善などファンダメンタルズ分析を基にした目標株価を重視している。また、経営陣とのミーティングを大切にしており、リーダーシップやAIに対する姿勢などを調査している。
設定来のパフォーマンスでは、代表的な世界株の指標「MSCI オールカントリー・ワールド指数」を上回る運用成果を残している。AIという大きな技術革新が進展する中で、変革を起こして成長する企業にしっかり投資したことが奏功した。
◆経験豊富な運用チーム、地の利を生かし企業にアクセス
-運用チームの特徴は
トーマス氏 経験豊富で業界に精通したメンバーで構成されていることが強みだ。私がリード・ポートフォリオ・マネジャーを務め、3人で運用をリードしている。25年以上、運用やリサーチに一緒に関わってきた。
リサーチ・メンバーの五人は、エネルギー、資本財、ヘルスケア、金融、消費関連など、幅広い分野の専門家を集めている。AIはITセクターにとどまる技術ではない。あらゆる産業に導入され、成長を生み出しているためだ。
運用拠点は、シリコンバレーに近い、サンフランシスコの近郊にある。シリコンバレーには、イノベーションを引き起こす革新的な企業が集積しており、さまざまなカンファレンスが頻繁に開催されている。地の利を生かし、活発に企業とミーティングを行って、経営陣と対話している。
規模の小さい企業が、大企業へと成長していく。早い段階で企業にアクセスしていることも強みだ。テクノロジーセクターを中心に革新的な企業を長期にわたってカバーしてきたことで、エヌビディアやテスラを未上場のときから調査しており、経営陣とミーティングを重ねてきた。今後も、こうした成長企業を発掘していく。
◆AIの恩恵を受ける幅広いセクターに投資
-今後の注目点は
トーマス氏 AIは、コンピューターの世界だけでなく、ロケットがAIの操作で地上に戻ってきたり、人型ロボットが登場したり、あらゆる産業を変革しようとしている。また、私たちの生活の一部として定着し、快適な社会を生み出し始めている。
ファンドの運用においては、パフォーマンスを上げることが最大の目標だ。AIによって収益にインパクトが見込まれるものの、まだ株価に反映されていない企業を見極めてファンドに組み入れることが重要になる。今は、ハイパースケーラーを中心にAI投資の恩恵を受ける企業を選好している。個別企業ごとにAI投資のサイクルの恩恵を見極めることが重要なポイントだ。
また、AIは幅広い産業にインパクトをもたらすので、ヘルスケア、資本財、金融などあらゆる産業においてAIを活用することによる勝ち組企業を組み入れて、多様なポートフォリオを構築している。分散の効いたポートフォリオは、中長期のパフォーマンスに恩恵をもたらすだろう。
◆長期の観点で投資、AIの恩恵を享受
-投資家にメッセージは
トーマス氏 「グローバルAIファンド」は設定から10年が経過したが、AI革命はまだ初期段階だ。AIはこれからも、いろいろな産業に変化をもたらすだろう。投資家の皆さまには、長期的な観点でこのファンドに一緒に乗り、AIが社会や経済に変革をもたらす恩恵を享受していただければと思う。



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