高まるリスク、分散投資が重要に=個人に応じた資産配分でショックを軽減-ウェルスナビ
2026年07月23日 10時00分
(長谷川氏) ロボットアドバイザー最大手のウェルスナビ(東京、柴山和久社長)は、「データで見るリスクの今」をテーマにメディア向けウェビナーを開催した。
リサーチ&クオンツの長谷川直弘氏は「10年前に比べてリスク水準が上昇している」と指摘、「複数の資産クラスに分散投資することでショックを和らげ、より長期の視点で資産運用することが大切だ」と述べた。
PRチームの佐藤健氏は「アンケートによると、相場が大きく下落した場合、6割超の人が『不安を感じる』と回答している。リスクについて把握することが大切だ」と話した。主な発言は以下の通り。
◆リスクとは何か
(出所)ウェルスナビ(クリックで表示)
(出所)ウェルスナビ(クリックで表示)長谷川氏 リスクは「リターンの振れ幅」を示したものだ。資産価格はプラスとマイナスの両方向に振れるが、資産によって振れ幅が大きかったり、小さかったりする傾向がある。
「ローリスクの資産」は振れ幅が小さいので「ローリターン」に、「ハイリスクの資産」は振れ幅が大きいので「ハイリターン」になる可能性がある。リスクとリターンは表裏一体であり、大きくプラス方向にリターンを生む可能性がある資産は、大きくマイナス方向に動く可能性が潜んでいることを忘れてはいけないと思う。
◆株と債券のリスクの違い
長谷川氏 世界株と債券の月次リターンの分布を2000年以降のデータでみると、世界株は10%を超えるリターンとなった月もあったが、「5%を超える下落となった月」が31回あった。一方、債券は、分布が中心に寄っており、「5%を超える下落となった月」が無かった。
世界株は、大きなリターンが期待される一方で、「資産が必要なタイミングで大きく下落しているかもしれないリスク」を伴っていると言えるだろう。
◆局面で変化、高まるリスク水準
長谷川氏 同じ資産クラスであっても、局面によってリスク水準は異なる。世界株と米国株について、リターンの振れ幅の大きさを数値化した「標準偏差」を見ると、10年前に比べてリスク水準が上昇している。
2020年のコロナショック、2022年の世界的なインフレ、2025年の関税ショックというように、マーケットが下落するイベントがいくつかあり、リスクを押し上げる要因になった。
さらに、株式市場で起きている構造変化も影響している。半導体や情報技術セクターが株式市場に占める割合が高まっており、似たような値動きをする銘柄の割合が大きくなっている可能性がある。こうした要因が、今後も、構造的に株式のリスクを高める可能性は否定できない。
(出所)ウェルスナビ(クリックで表示)
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◆相関関係も変化、複数の資産クラスで分散
長谷川氏 ほかの資産とどれだけ異なる動きをするかを数値化したものが「相関係数」だ。米国株式と債券は、2020年までは異なる値動きをしていたが、その後は連動性が高まっている。
その要因は、インフレがテーマになっていることだ。世界的に物価上昇が懸念され中央銀行が金融を引き締めたことで、金利が上昇(債券価格が下落)、株式が値下がりした。中東情勢の悪化で原油価格が上昇する局面でも、株安・債券安になった。
一方、金は2000年以降、異なる値動きをしていることが分かる。
このように、相関関係は市場環境によって変わりうるものだ。ただ、長期的に見ると、異なる資産クラスを組み合わせることで、分散効果が期待できる傾向がある。分散する資産クラスは、株式・債券・金・不動産というように複数持つべきだと、ウェルスナビでは考えている。
◆資産配分でショックを和らげる
(出所)ウェルスナビ(クリックで表示)
(佐藤氏)長谷川氏 ウェルスナビは、お客さまのリスク許容度に合わせて、五つのポートフォリオの中から最も適したものを提供している。各ポートフォリオについて、5%超下落した月数を見ると、債券の多い「リスク許容度1」では2回、株式の多い「リスク許容度5」では26回だった。配分の組み合わせによってショックを和らげることができる。
リスクが高いポートフォリオは、リターンの期待値は高まるが、その分、大きく下落する回数も増える傾向がある。途中で耐えられずに売却してしまうと、リターンの果実を十分に得ることができないことに注意が必要だ。
◆ライフステージに沿って配分変更
佐藤氏 年齢などで変化するライフステージに合わせて、資産運用の中身を変更していくことが必要だ。例えば、20代~40代の資産を増やす時期には、株式の多いポートフォリオを組み、50代~60代は資産を守る準備をするため、債券の比率を高めて安定的な運用にスライドしていく。こうした見直しで、より長期的な視点で資産運用ができるだろう。
◆仮に相場が急落した場合、6割超が不安に
(出所)ウェルスナビ(クリックで表示)
(出所)ウェルスナビ(クリックで表示)佐藤氏 ウェルスナビは「資産運用とメンタルパフォーマンスに関するアンケート調査」をまとめた。この中で「仮に相場が急落し、資産の価値が1カ月で20%下落した場合、不安を感じるか」と尋ねたところ、「不安を感じる」とする回答は68.7%に達した。
「相場が急落した時、不安を感じる点」については、「資産運用に回した金額」(53.1%)や「選んだ金融商品や資産配分」(45.0%)が多かった。調査は6月に実施し、NISAを利用している20~59歳の約1000人の回答を集計した。
現在は、世界株や米国株を中心とする「株式のみ」で構成された投資信託に人気が集中しているが、マーケットの変動が大きくなる中で、投資家はリスクについて把握することが大切だと思う。
◆ウェルスナビとは
佐藤氏 ウェルスナビは、スマホ一つでオンライン完結する全自動の資産運用サービスを提供している。五つの質問に答えるとリスク許容度を診断して運用プランを提案し、株式・債券・不動産・金を組み合わせたポートフォリオで運用する。
(出所)ウェルスナビ(クリックで表示)「働く世代に豊かさを」をミッションに掲げ、資産運用の王道である「長期・積立・分散」を推奨してきた。7月にサービス開始から10周年を迎え、預かり資産は2兆円を突破し、運用者数も50万人を超えた。



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