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米国株式、AIから広がる投資機会=「セクターETF」でポートフォリオを補完-ステート・ストリートの山口氏

2026年09月10日 08時30分

山口美帆氏

 米系運用会社ステート・ストリート・インベストメント・マネジメントのヴァイス・プレジデント兼セクター・スペシャリストの山口美帆氏は、「セクターから読み解く米国株式市場」をテーマにメディア勉強会を開催した。

 山口氏は、米国株式市場の現状について「AIを中心としながら、投資機会がほかのセクターにも広がる局面になっている」と分析。セクターETFを活用して、ポートフォリオを補完する運用手法を説明した。主なやりとりは以下の通り。

 同社は、外国籍投信「State Streetセレクト・セクターSPDR ETFシリーズ」を提供している。これらのETFは唯一、「S&P500」を11の世界産業分類基準(GICS)のセクター(コミュニケーション・サービス、一般消費財、生活必需品、エネルギー、金融、ヘルスケア、資本財、素材、不動産、情報技術、公益事業)のすべてに切り分けて投資できるシリーズだ。

◆引き続き上昇基調、主役が増える

-米国株式市場のポイントは

山口氏 1点目は、米国株式市場は引き続き上昇基調にあり、その中で、主役が増えていることだ。これまでは大型のテクノロジー企業やAI関連銘柄が市場をけん引してきた。しかし、現在は、金融、ヘルスケア、資本財など、より幅広いセクターに投資機会が広がっている。すべてのセクターが同じ材料で動いているのではなく、異なる要因によってそれぞれのセクターが動いている。

 2点目は、AIに対する市場の評価軸が変化してきていることだ。市場の関心は「どれだけAIに投資しているか」から、「その投資を売り上げや利益に結び付けられるか」に移ってきた。

 3点目は、パフォーマンスの良いセクターと、そうでないセクターの格差が広がっており、全体の指数を見るだけでは、市場の変化を十分に把握できなくなっていることだ。「米国株を持つかどうか」というだけではなく、「どのセクターを経由で米国株を持つか」といったセクター選択の重要性が高まっており、アクティブ運用の投資機会を創出している。

◆AIを中心としながら、投資機会がほかのセクターにも広がる局面

-主要セクターの動向は

山口氏 情報技術セクターは、引き続き、重要な成長分野だ。AI需要は堅調であり、情報技術セクターは力強い成長が続いている。設備投資負担の増加によるフリーキャッシュフローへの影響は限定的だ。また、クラウド関連収益の拡大しており、AI需要の強さを示している。ただ、ここからは、全てのAI企業が同じように評価されるのではなく、「投資を持続的な売上高や利益に転換できる企業」と「できない企業」を選別する必要性が高まるだろう。

 金融セクターは、景気の底堅さを映すセクターだ。貸し出しの回復や資本市場の活動の改善が業績を支えている。具体的には、企業の設備投資や活発な事業活動が継続している。また、IPOや公募増資も中期的に見て回復している。さらに、企業業績の上振れや、投資家資金の流入など複数の要因が重なっており、金融セクターをポジティブに見ている。

 ヘルスケアは相対的に出遅れていたが、2027年に向けた利益回復や、M&A活動の活発化、包括的な医療管理システムであるマネージドケア事業の改善、バイオ医薬品の分野のイノベーションなどを背景に、再評価する動きが見られる。ヘルスケアは、単に市場が不安定なときに選ばれる防御的なセクターではなく、成長セクターとして見直す動きが広がる可能性がある。

 資本財は、AI投資が実体経済に広がる過程で恩恵を受けるセクターだ。例えば、データセンターを稼働させるには、電力設備や冷却システム、建設・産業機器、ネットワーク設備などが必要になる。資本財には、こうしたAIのインフラ投資という構造的な需要に加えて、製造業の回復という循環的な需要や、防衛支出や設備投資を支える政策など、複数の成長ドライバーが存在している。

◆強さの源泉は企業業績、EPS予想を上方修正

-企業業績の動向は

山口氏 2026年第2四半期決算では、大型テクノロジー企業の投資評価益に加えて、金融・ヘルスケアも大幅な利益の上振れとなり、エネルギーも利益成長をけん引していることが分かった。また、2027年のEPS(1株当たり純利益)予想も上方修正された。

 市場は常に将来の利益予想を見ている。現在の米国株式の上昇は、期待だけによるものではなく、企業利益の上振れと将来の利益予想の改善によって支えられている。市場は、AIから離れているのではなく、AIを中心としながら、投資機会がほかのセクターにも広がる局面だと考えている。

◆コアを維持しながら、見通し・分散・リスク管理を反映

-セクターETFの役割は

山口氏 セクターETFの役割は、単に特定の業界に短期投資を行うことではない。

 第1のポイントは、個別銘柄を選択する場合に比べて、セクター内の複数企業に分散投資できることだ。個別企業の固有リスクを抑えながら、セクター全体のテーマに投資できる。

 第2のポイントは、景気サイクルや金利環境、業績の見通しの変化に応じて、ポートフォリオのセクター配分を機動的に調整できることだ。

 第3のポイントは、既存のポートフォリオに不足しているエクスポージャーを補完したり、過度のエクスポージャーをヘッジしたりできることだ。

 ヘッジファンドや資産運用会社、政府系ファンド、保険会社、年金基金、大学基金・財団などに、それぞれの目的に応じた投資機会を提供することができる。共通する点は、マーケットの見通しを、流動性と透明性がある形で、それぞれのポートフォリオに反映できる点だ。

 例えば、「株式60%、債券40%」のポートフォリオで運用している場合、ポートフォリオ全体を大きく変更することなく、その一部をセクターETFに組み替えることで、コアとなる米国株式のエクスポージャーを維持したまま投資アイデアを表現することができる。追加的なリターン獲得の機会や、分散効果を追求するといったコア・サテライト運用をシンプルで効率的な手段で実装することができる。

 

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