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三井住友DSアセット、DCファンドのラインナップを拡充=拠出限度額の引き上げや「見える化」で、DC規約の見直し機運が高まる

2026年08月28日 08時00分

(左から奥原氏、足達氏、加藤氏)(左から奥原氏、足達氏、加藤氏)

 確定拠出年金(DC)導入企業で、運営内容の見直し機運が高まっている。4月にマッチング拠出の制限が撤廃されたことに続き、12月には拠出限度額が引き上げられるなど、DC制度が大幅に拡充される。さらに2027年には、各社の運営内容が「見える化」され、他社と比較可能になる見通しで、加入者に対する説明責任が高まるためだ。

 こうした状況に対応するため、三井住友DSアセットマネジメントは、加入者利益の最大化を目指して、DCファンドの商品ラインナップの拡充を進めている。同社資産運用コンサルティング部DC推進チーム長の足達舞氏、同シニアマネージャーの加藤豪氏、同プリンシパルの奥原健夫氏に話を聞いた。

◆残高31兆円に拡大、加入者数はDBを抜く

-DC市場の現状は

足達氏 確定拠出年金(DC)は、過渡期を迎えている。2024年1月の新NISA登場が投信市場の転換点になって、資産形成に対する関心が高まり、選ばれる商品の特性も変化したが、確定拠出年金(DC)も制度改正を契機に大きく動きだしそうだ。

 DC市場の現状を見ると、2024年末の資産残高は約31兆円で、このうち投信が約7割を占めている。もう一つの企業年金である確定給付企業年金(DB)の資産残高は約70兆円とDCより大きい。ただ、2025年末の加入者数では、DCが約893万人となり、DB(約885万人)を抜いた。DCの普及に勢いがついている。

◆制度改正と「見える化」が後押し

-DC市場拡大の背景は

足達氏 DC市場拡大の背景には、確定拠出年金法の改正に加えて、①日本経済がインフレに転換した ②金利ある世界に回帰した ③少子高齢化が進んでいる ④金融リテラシーが向上している-など、経済・社会環境の変化によって、DCへの関心がさらに高まっている。

 厚生労働省は2027年度中をめどに、導入企業各社のDCの運営状況を「見える化」する方針だ。他社のDC制度と比較できるようになるため、事業主は加入者に対して「なぜこのような商品ラインナップにしているか」-など、説明できるようにしておくことが必要になる。

加藤氏 厚生労働省は、公表項目の詳細を発表していないが、事業主だけでなく、運営管理機関や運用会社も対応が必要になる。例えば、運用会社であれば、DCファンドの品ぞろえや、それぞれのファンドのパフォーマンス、信託報酬などが、比較されることになるだろう。

◆「ファンドの追加・除外を予定・検討」が倍増

-事業主の動向は

足達氏 企業年金連合会が5月に発表した「企業型確定拠出年金実態調査結果(概要版)」によると、「ファンドの追加・除外を予定(または検討)」と回答した企業の割合は21.6%と、前年調査(9.8%)の2倍以上になっている。

 DCが2001年に日本に導入されて約25年になる。DC導入企業各社はこれまで、「ファンドを追加してラインナップを広げる」工程にあった。ただ、規約に組み入れることができるファンド数は35本という制限があることから、これからは「同じカテゴリーで複数のファンドがある場合、コストの妥当性を確認して、除外する」工程へと、切り替えることが必要になるだろう。その際、低コストがカギになると見ている。

◆2034年に100兆円に拡大

-DC市場の見通し、追加するファンドの傾向は

足達氏 当社では、企業型DCとiDeCoの残高が年率3%で増加していくことで、DC市場は2034年に100兆円に拡大すると試算している。このうち投資信託は、81兆円を占め、現在の約3.7倍の規模に拡大するだろう。

奥原氏 DCの外国株のインデックスファンドは、DBなどの年金基金の運用で使われる「MSCIコクサイ・インデックス」をベンチマークとするものが中心だ。ただ、NISAでは「S&P500」や「MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス」が人気になっており、DCでもこうした指数を参照する外国株のインデックスファンドが採用され、残高を伸ばしていくだろう。

 このほか、新たな動きとして、金(ゴールド)に投資するファンドが、DC規約に採用され始めている。DCでは、コモディティーに投資するファンドの採用が非常に少なかった。このところ金相場が上昇基調にあることから、加入者の要望を受けて、事業主がラインナップに追加しているものと思われる。

◆「内外株アクティブ」や「テーマ型インデックス」を拡充

-三井住友DSアセットの戦略は

足達氏 当社のDCファンドのラインナップを残高順に並べると、1位から4位が「内外株のパッシブファンド」、5位と6位「外国株のアクティブファンド」、7位と8位が「国内株のアクティブファンド」になっている。DC専用のアクティブファンドは、それぞれカテゴリーで残高トップレベルのファンドを擁している。

 当社の今後の注力分野だが、一つ目は、定評のあるアクティブ運用について、「内外株アクティブファンド」に注力していきたい。低コストのインデックスファンドが人気だが、アクティブファンドを運用し、「コストに見合う付加価値を運用成果で示す」ことが運用会社の使命と考えている。

 二つ目は、「S&P500」や「MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス」など市場全体を対象としたインデックスファンドが浸透していく中で、その次の選択肢として、テーマ型のインデックスファンドにも関心が広がることが予想される。DCファンドなので、長期投資に資するテーマに力を入れていく方針だ。

◆「網羅性」「コスト妥当性」「収益機会」

-DC導入企業が自社のラインナップ設計する上で必要な視点は

足達氏 ①網羅性 ②コスト妥当性 ③収益機会-が、注意すべき三つの観点だと考えている

 一つ目の網羅性だが、年度によってパフォーマンスは変化する。従業員には若い人から定年が近い人までさまざまだ。多様なニーズに応える選択肢がそろえておくことが必要だ。

 二つ目はコストの妥当性だ。コストが提供価値に見合っているか、合理的に従業員に説明できることが大切だろう。

 三つ目は、収益機会だ。従業員に十分な収益機会を提供できる商品を見極めて、ラインナップに採用することが重要だ。「低コストのファンドをそろえる」といった視点に加えて、「加入者の利益を最大化する」という観点から、アクティブファンドを活用していただきたいとお話している。

◆日本株はアクティブが力を発揮

-アクティブファンドは超過収益を稼いでいるか

足達氏 米国の調査会社eVestment社のデータベースに基づくと、日米欧の主要な株式アクティブファンドの2016年1月末から2025年12月末の10年間のパフォーマンスは、米国株のアクティブファンドは約4割、欧州株は約5割、日本株は約8割のアクティブファンドがベンチマークを上回った。

 欧米株は市場の効率性が高く、情報があふれている。一方、日本株は中小型株が多く、情報が少ないため、運用者が自らリサーチする効果が大きく、アクティブ運用が本領を発揮しやすいカテゴリーだ。

◆「Philosophy」「Process」「People」

-質の高いアクティブファンドの見極め方は

足達氏 観点としては「Philosophy(運用哲学)」「Process(運用プロセス)」「People(運用体制・人材)」「Performance(運用実績)」「Portfolio(保有銘柄)」の5Pがある。

 このうち、「Philosophy」「Process」「People」の3Pが特に重要だ。この三つで多面的にファンドを評価することで、収益の源泉を見極めることが可能になる。過去の「Performance」だけでは、将来の「再現性」を判断でいない。

◆グロース運用の日本株アクティブを追加

―新ファンドの設定は

足達氏 6月30日にグロース(成長株)運用の日本株アクティブファンド「三井住友DS・DC国内株式グロースセレクト」を設定した。

 当社は現在、バリュー(割安株)運用の日本株アクティブファンドを提供しており、高いパフォーマンスを残しているが、新たにグロース運用を加えた。このファンドのマザーファンドは、2014年12月に運用を開始しており、「Philosophy」「Process」「People」の3Pを実現することで、好調なパフォーマンスを残している。

 このファンドの「Philosophy」は、「伸びる市場で優位なポジションを構築している企業」や「競争のない市場を創出し一人勝ちする仕組みを構築しているブルーオーシャン企業」など持続的に成長する銘柄群に投資することで、中長期的に市場を上回る収益の獲得をめざすことだ。

 「Process」では、今後3~5年程度先までを見据えて市場拡大が見込まれる「中長期成長テーマ」の分析や、市場成長性や競合状況などの「企業ポジショニング」の調査を先行して行う。その上で、それに紐づく「勝ち組企業」をボトムアップリサーチで選定することで、「成長する確度の高い企業」を効率的に発掘するノウハウを蓄積している。

 また、「投資先企業と積極的に対話を行うことで、企業価値向上に貢献することが可能だ」と考え、担当ファンドマネージャーが自ら個別企業の調査活動を行っている。

「People」については、35年の運用経験を持つリードファンドマネージャーを中心に、6人体制のグロースチームが、100以上のテーマを継続的にウオッチして、投資サイクルを回している。また、20人の企業調査アナリスト、8人のマクロ調査・エコノミスト、10人のESGアナリストが、運用チームをフルサポートしている。

 

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