個人のライフプランに沿って活用しやすく=厚生労働省企業年金・個人年金課長が講演-NPO法人確定拠出年金教育協会の日本DCフォーラムで
2026年07月21日 08時30分
(厚生労働省年金局企業年金・個人年金課の海老敬子課長) NPO法人確定拠出年金教育協会(NPO法人DC・iDeCo協会)は17日、都内で「第15回日本DCフォーラム」を開催し、厚生労働省年金局企業年金・個人年金課の海老敬子課長が、「DC制度の現状と今後の展望について」をテーマに基調講演した。
海老課長は、個人を取り巻く環境について「働き方やライフスタイル、老後に対する考え方が大きく変化している。60歳以降も働く人が増え、人生100年時代と言われる中で、自ら老後の資産形成を考える重要性は高まっている」と指摘。今回の制度改正は「企業年金、個人年金ともに充実を図っており、それぞれを組み合わせながら、人生の中で個人のライフプランに沿って活用することが、よりやりやすくなった」と話した。
今回の制度改正では、主に以下の4点を指摘した。
(出所)厚生労働省(クリックで表示) 一つ目は、iDeCo(個人型確定拠出年金)の加入可能年齢の引き上げだ。今年12月1日に施行される。働き方にかかわらず、70歳までiDeCoを活用できるようになる。
企業を退職した後にiDeCoを活用しながら、企業型DCで積み立てた資産で老後に備える幅が広がる。老齢基礎年金やiDeCoの老齢給付金を受給していないことが要件になるので、その点については注意が必要だ。
二つ目は、企業年金の運用の「見える化」だ。企業年金の運用状況を厚生労働省が取りまとめて公表する。企業年金の情報を一般に公開することで、他社と比較できるようになり、加入者の最善利益のための運営改善が行われる仕組みを手当てした。
2027年のシステム稼働に向けて準備を進めている。企業がレコードキーパー経由で提出している「業務報告書」をもとに、厚労省がホームページを通じて開示する。
三つ目は、マッチング拠出の見直しだ。「加入者掛金は事業主掛け金の額を超えられない」という制限を撤廃した。これは今年4月に施行した。マッチング拠出の実施は、企業ごとに規約で定めているものであり、制限の撤廃についても規約の見直しが必要になる。
四つ目は、企業型DC、iDeCo、国民年金基金の拠出限度額の引き上げだ。こちらは今年12月1日に施行される。企業型DCでは、会社員(第2号加入者)は、月額の拠出限度額が6.2万円にそろう。「会社員で企業年金のある人」はiDeCoと合わせて6.2万円、「会社員で企業年金のない人」はiDeCoが6.2万円と、活用の幅が大きく広がる。
(出所)厚生労働省 iDeCoについても、拠出限度額引き上げを起点にして、「知らない人には知ってもらおう」「知っているが踏み出せない人には制度改正を機に踏み出してもらおう」ということで、「これからiDeCo、ひろがるiDeCo」をキャッチフレーズに周知を図っている。
このほか、4月に厚労省のホームページに掲載している「公的年金シミュレーター」の見直しを行った。私的年金のシミュレーションもできるようになっているので、ご活用をいただければと思っている。
人的資本経営の重要性が高まる中で、企業年金の役割は非常に大きくなっている。DC制度の充実は、老後の備えだけではなく、現役世代が安心して働き続けるためにも重要なものになっている。今回の改正により、企業年金と個人年金を組み合わせた活用の幅が、金額的なものに加えて、ライフプランを見据えた長い時間軸の中で広がると考えている。



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