日銀のETF売却、「市場への影響は軽微」=出口戦略の始まり、今後の動向は注視-モーニングスター・ジャパンの元利氏
2025年09月22日 08時15分

モーニングスター・ジャパン マネジャーリサーチ部長の元利大輔氏は19日、日本銀行が金融政策決定会合で年間3300億円(簿価ベース)のETF売却を決定したことについてコメントを発表し、「市場に与える影響はほとんどないだろう」と指摘した。
日銀は、2025年3月時点で、日銀は簿価で約37兆円のETFを保有しており、発表されたペースで売却すると、全てを売却するまで1世紀以上(100年以上)かかる計算になるためだ。
また、2024年の東京証券取引所におけるETFの年間売買代金は約77兆円で、日銀の推定年間売却額(時価ベースで6000~6500億円)はその1%にも満たない水準だという。
さらに、「ETFは日本の株式に投資をしているが、東証プライム市場の年間売買代金は1200兆円を超えており、日銀の行動による影響が、いかに限定的かが分かる」と分析している。
このため、元利氏は投資家に対して「日銀によるETF売却に対して慌てる必要はなく、発表されたペースであれば過度に心配する必要もないだろう」とアドバイスしている。
その上で、「今回の決定は、日銀の出口戦略の始まりを示すものだ。今後、日銀がETF売却のペースを加速させる場合、投資家は市場の流動性や価格形成への影響を改めて見極める必要がある」と話している。