ドイチェAM、「DWS AIニューリーダーズ株式ファンド」を設定=AIの「特許」に着目、未来の成長力に投資
2025年12月22日 09時00分
(左から高橋氏、岸本氏) ドイチェ・アセット・マネジメントは「DWS AIニューリーダーズ株式ファンド」を新規設定した。AI関連の「特許」に着目することで、ハードウエアからソフトウエアまで幅広い分野でニューリーダーを発掘し、未来の成長力に投資する。また、高い運用実績を誇るDWSの海外ETFを投資対象とすることで、パフォーマンスとコストの両立を図る。
同社執行役員で投資信託営業所管の高橋尚久氏と、機関投資家営業部ディレクターの岸本拓之氏に、設定の狙いやファンドの特徴を聞いた。
◆新時代に突入したAI市場
-新ファンド設定の狙いは
高橋氏 AIは今まさに新時代に突入した段階だ。「AI技術の進化」や「社会への浸透」によって、その市場規模は急拡大しており、2024年に約0.6兆米ドルだったものが、2034年には約3.7兆米ドルへと、わずか10年で約6倍に急成長すると予想されている。
AIは、世界経済をけん引する中核技術になるだろう。企業の意思決定や業務効率、顧客体験を根本から変える「知能のインフラ」として、さまざまな分野で活用され、新たなサービスが広がることが予想されている。中長期にわたる成長トレンドの恩恵を、投資家の皆さまにぜひ享受していただきたいと考え、このファンドを設定した。
◆特許に着目、未来のニューリーダーを発掘する
-新ファンドの特徴は
高橋氏 パフォーマンスとコストにおいて優れたファンドを提供するため、DWSグループがグローバルで展開する上場投信(ETF)「Xトラッカーズ」で、世界有数の残高を誇るAI関連のETFに投資する仕組みを採用した。「特許」というユニークな切り口で銘柄を選定する指数に連動する投資成果を目指す。
特許は、「イノベーションをリードし続ける力」を示す指標として有効だ。当ファンドは、世界の企業が保有するAI関連の特許の数やシェアに着目することで、未来のニューリーダーを発掘することを目指している。
世界の特許件数は、急速に拡大している。企業は、特許によって独自技術を法的に保護し、参入障壁を高めることで「競争優位性」を維持できる。また、収益化されていない研究開発を視覚化することで「未来の成長力」を評価できる。さらに、知的財産の保護や訴訟回避によって企業の安定性を高める「リスク管理」の観点からも有効だ。
特許は、「企業の差別化」の源泉となり、製品やサービスに活用されることで将来的に大きな収益を生み出す可能性を秘めている。「特許」に着目することで、技術革新が著しいAI分野のトレンドを捉え、成長が期待される企業への投資機会を発掘することができると考えている。
◆七つの中核分野=深層学習、画像認識、自然言語処理・・・
-このファンドが投資するETFの概要は
岸本氏 このファンドが投資するETFの資産規模は1兆円を超えており、パッシブ型のETFとしては世界最大級だ。
指数は、米国のナスダック社が提供するもので、開発にはDWSも参加した。AIの技術革新をけん引する七つの中核分野として、「ディープラーニング(深層学習)」「画像認識」「自然言語処理(NLP)」「音声認識」「ビッグデータ」「クラウドコンピューティング」「サイバーセキュリティ」に注目している。
この指数は、1銘柄当たりの最大投資比率を4.5%に制限している。これによって投資銘柄の集中リスクを排除し、規律ある運用を行っている。
◆ハードからソフトへ主役が変わる
-AI市場の今後の注目点は
高橋氏 これまでは半導体などのハードウエアがAI市場の土台を作ってきた。足元ではそれらをベースに、ディープラーニングや自然言語処理を使ったソフトウエアのサービスが広がって、私たちの生活に便利さや効率性をもたらしている。
ハードからソフトへと主役が変化していく中で、AI産業の主役は変化していく可能性がある。現在のポートフォリオは、米国企業が約8割を占めているが、今後、アジアや欧州の配分が増加することが想定される。
特許に注目することで、時代の趨勢を把握し、最適化されたポートフォリオを目指していくことが可能だと考えている。
◆AIは生活に密着し、便利さや豊かさをもたらす
-AI活用の広がりは
岸本氏 このファンドが投資しているETFのポートフォリオを見ると、情報技術に加えて、通信サービスや金融、一般消費財サービスが入っている。このファンドは、ハードウエアに特化することなく、ソフトウエアを含めてカバーしている。
高橋氏 私たちの身の回りを見渡すと、AIは生活に密着している。例えば、お掃除ロボット、配膳ロボット、チャットボット、医療画像診断、スマートエアコン、セルフレジなど、幅広い分野に応用され、私たちの暮らしに便利さや豊かさをもたらしてくれる。こうした観点で銘柄を組み込んでいる点が、このファンドのユニークな点だ。
◆エッジの効いたイノベーティブなETFに強み
-DWSのETF事業の概要は
岸本氏 「Xトラッカーズ」は、DWSのパッシブ事業の総称だ。ETFと機関投資家向けのパッシブ一任運用を行っている。世界で63兆円の資金を運用しており、このうちETFは47兆円で、約440本を運用している。ヨーロッパに本拠地を持つETFプロバイダーとしては2番目の規模だ。エッジの効いたイノベーティブなETFに強みを持っている。
◆リスクを理解し、長期にわたって投資を継続する
-投資家へのアドバイス
高橋氏 資産形成においては、「長期・分散・積立」が重要だ。このファンドは、特許に着目することで、長期の視点で将来的な成長の可能性に投資しており、長期的な資産形成に資するファンドだと考えている。
投資に当たってはリスクを理解することが重要だ。そのためには金融リテラシーを高めることも重要だろう。マーケットの動向に一喜一憂せず、自分自身の目標から外れることなく、長期にわたって投資を継続していくことが重要だろう。



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