公募株式投信(除くETF)、1.3%増の154兆円=4カ月連続で増加し、過去最高を更新-8月の投信概況
2025年09月12日 08時00分
投資信託協会がまとめた2025年8月の投信概況によると、公募株式投信(除くETF)の純資産総額は、前月比1.3%増の154兆3026億円だった。国内外の株価上昇により運用額が拡大したことなどで、4カ月連続で増加し、過去最高を更新した。
一方、公社債投信やETFを含む公募証券投信全体で見ると、純資産総額は前月比2.4%増の267兆2923億円となった。こちらも4カ月連続で増加し、過去最高を更新した。
月間の新規設定は23本、償還は13本だった。この結果、運用中のファンド本数は前月末比10本増加して、5806本になった。


◆MRF、18カ月ぶりに過去最高
こうした中、MRFの純資産総額は、前月比4.5%増の16兆1752億円と、3カ月連続で増加し、2024年2月(15兆7796億円)以来18カ月ぶりに過去最高を更新した。
日本取引所グループ(JPX)のまとめによると、個人投資家は5月から8月まで、現物株式について資金流出だった。証券会社が取り扱うMRFは、こうした待機資金の受け皿になっているもようだ。
◆27カ月連続で資金流入超=公募株式投信(除くETF)
公募株式投信(除くETF)の資金増減額は、7012億円の純資金流入となった。流入超過は27カ月連続。少額投資非課税制度(NISA)を通じて、個人投資家の資金流入が続いており、前月(2454億円の純資金流入)に比べて純流入額が拡大した。
一方、運用増減額は、国内外の株価上昇を受けて、プラス1兆5665億円だった。7月末は、日経平均株価が前月末比4.0%、NYダウも同3.2%、それぞれ上昇した。月末の円相場は1ドル=146円92銭となり、前月末(同149円39銭)と比べて、やや円高に振れた。
◆「設定」は回復基調、「解約・償還」は縮小
公募株式投信(除くETF)の純資金流入額を「設定」と「解約・償還」に分解すると、「設定」は3兆3977億円と、2カ月連続で3兆円を上回った。過去1年間の平均(3兆3951億円)に並ぶ水準にまで回復した。
一方、「解約・償還」は2兆6965億円で、前月(3兆2149億円)より縮小し、過去1年の平均(2兆2762億円)をやや上回る程度にとどまった。

◆「海外株」「内外株」「資産複合」は、前月を上回る
主要な商品分類別に資金増減額を見ると、「海外株式型」「内外株式型」「内外資産複合型」は、いずれも前月を上回る資金流入額だった。
一方、「国内株式型」は、1242億円の流出と、4カ月連続で流出超となった。主に、日経平均株価に連動するインデックス型やレバレッジ型から資金流出が継続した。
◆公募・私募を合わせると400兆円を突破
投資信託協会がまとめた「投資信託の主要統計」を見ると、公募と私募の証券投信を合算した純資産総額は8月末で402.5兆円となり、初めて400兆円を突破した。(不動産投資法人やインフラ投資法人は前月のデータ)

◆ファンド本数の減少を期待
この日記者会見した投資信託協会の須田正徳事務局長は、縮小傾向にあった投信市場への資金流入額が拡大に転じたことについて、「8月は、『設定』が回復基調を維持する一方、『解約・償還』は縮小しており、単月で見ると、流れとしては悪くない。ただ、マーケットの話なので、単月のデータを見て、トレンドが変わったと評価するのは、時期尚早だろう。もう少し様子を見守りたい」と述べた。
また、ファンド本数が増加していることについては、「昨年はテーマ型ファンドを中心に償還が進み、ファンド本数が減少した。今年については、何か特定の傾向は見られるわけではなく、自然体といった状況だ」と分析した。

その上で「ファンドの償還については、販売会社や投資家の理解や協力が必要であり、個別の事情を勘案しつつ進めるため、大変、難しいこともあるだろう。ただ、行政も手続きの簡素化を進めており、ファンド本数が減少する方向に転じていくことを期待している」と話した。