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コロナ禍で進行中 「内部留保=株高」

<2021年8月20日>

こんにちは、JFSメールマガジン担当の松田莉奈です。最近、好きなお笑い芸人のオンライン配信ライブに参加しました。人目を気にせずに笑えるので、この楽しみ方も良いなと思いました。
さて、今回のメールマガジンより、2代目編集長・伊藤のコラムをお届けいたします。今後も定期的に編集長コラムを掲載する予定ですので、ぜひご愛読ください。

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はじめまして。
このたびJFSメールマガジン編集長を拝命した伊藤幸二です。
1993年の入社以来、現在も籍を置く東証・兜クラブに通算で約20年、日銀・金融記者会に4年半いて金融・資本市場を軸に経済の動きを追ってきました。
取材にうかがった証券会社の方のお勧めでテクニカルアナリスト資格を取得したのを機に、寝ても覚めてもマーケットの日々を送っています。
弊社の各種サービスとあわせて、このメルマガでも日々姿を変える市場と経済の息遣いをお伝えしていきます。
今後とも、ご愛読のほどよろしくお願いします。


コロナ禍で進行中、「内部留保=株高」

時事
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 企業が得た利益の中から蓄えに回した資金が内部留保と呼ばれます。内部留保を膨らませるのではなく、成長分野に投資するか、配当や自社株買いで利益を還元するのが適切だというのが株式市場では一般論です。これまで企業の「ため込み過ぎ」には厳しい目が向けられ、内部留保を増やすばかりの経営者は悪者にされがちでしたが、新型コロナウイルス禍では様相が異なります。

 証券業界には、日経平均株価を構成する主要225社を「ニッポン株式会社」という一つの会社に見立てて、1株当たりの利益や資産を算出して日本経済の実力を測る分析手法があります。

 2021年4~6月期決算発表がほぼ終了した8月10日時点の1株当たり利益は2124円00銭で、決算発表が本格的に始まる前の7月20日に比べて3.6%の増加です。企業業績は「K字回復」と言われるほど二極化していますが、ならせば小幅の増益です。1株当たり純資産は2万3435円42銭と1.8%増えました。この間、日経平均も1.8%値上がりしており、日経平均株価は1株当たり純資産の増加に並行して上昇した形です。

 株価を1株当たり純資産で割った株価純資産倍率(PBR)は8月10日時点で1.19倍。この1年の底値は米大統領選直前の昨年10月30日の1.07倍で、ピークは今年3月16日の1.36倍なので、今はほぼ真ん中です。新型コロナと米国の金融政策に振り回される株式市場で、日経平均は純資産の1.2倍前後に張り付いたままです。

 話を元に戻しますが、純資産が増えた分しか株価が上がらないとすれば、企業は稼いだお金を配当や設備投資に使うよりも内部留保の積み増しに回した方が株価上昇につながり、短期的には株主の利益にかなうかのようです。しかし、利益還元や成長投資が不十分な企業の株式は投資価値が低下していくはずです。

 新型コロナという予測不能の環境悪化に見舞われた以上、経営者が蓄えを増やす傾向は一段と強まるでしょう。現在、株式市場参加者は内部留保の膨張を株高で歓迎していますが、米金融政策と同様、どこかで正常化への出口を探る必要があるのかも知れません。
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本日もメールマガジンをご覧いただき、ありがとうございました。みなさまよい週末をお過ごしください。 松田

 

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