アモーヴァ・アセットマネジメントに社名変更、9月1日に=「先進的投資ソリューションでより良い明日を共創する」-日興アセットのドゥルーズ社長に聞く
2025年08月04日 08時00分

日興アセットマネジメントは9月1日、「アモーヴァ・アセットマネジメント」に社名変更する。「先進的投資ソリューションでより良い明日を共創する」をMission(使命)に掲げ、世界各地で運用力と販売力を合わせ持つ、ユニークなグローバル・カンパニーを目指す。ステファニー・ドゥルーズ社長兼CEOに、新社名に込めた思いや今後の事業活動を聞いた。
◆「AM」、「MOVE」、「NOVA」を組み合わせる
-社名変更の狙い、社名に込めた思いは
ドゥルーズ社長兼CEO 社名変更には、社員が参加し、委員会を立ち上げ、1年以上の期間をかけて、会社を体現する社名を自分たちで考えた。
アモーヴァ(AMOVA)は、「AM(アセットマネジメント)」、「MOVE(動く)」、ラテン語の「NOVA(新しい、イノベーションの語源)」という三つを組み合わせた造語だ。イノベーション(技術革新)によって、未来志向の新しい動きを生み出す、グローバルな運用会社をイメージした。
また、ミッション・ステートメントを刷新し、「Mission(使命)」、「Principles(原則)」、「Values(行動基準)」を定めた。当社の企業価値をさらに高めるものになるだろう。
◆先進的投資ソリューションでより良い明日を共創する
-ミッション・ステートメントの内容は
ドゥルーズ社長兼CEO ミッション・ステートメントとは、自らの存在意義・理由を表現したものだ。当社のMission(使命)は「先進的投資ソリューションでより良い明日を共創する」とした。
次に、Missionを支えるための組織の考え方・運営方針を示した Principles(原則)は、①お客様第一主義 ②真の信頼関係 ③継続的なイノベーション ④意義あるパフォーマンス-の四つを掲げた。
具体的には、お客さまの最善の利益を何よりも優先しつつ、最高のサービスと倫理観に基づいた行動を追求することで、受託者責任を果たす。また、日本で培われた長年の実績を元に、世界中のステークホルダーとの間で高い透明性と調和に富んだ永続的な信頼関係を築いていく。
さらに、変動する市場で長期的に成功し続けるために、グローバルな存在感と高い専門性を駆使し、常に一歩先を行くことを目指す。また、全てのステークホルダーのウェルビーイングのために、責任ある意思決定に基づいた優れたパフォーマンスを追求する。
社員のValues(行動基準)は、(A)誠実な行動 (B)協働の推進 (C)果敢な挑戦 (D)卓越の追求-だ。法令を遵守し、ダイバーシティ(多様性)、エクィティ(公平性)、インクルージョン(包摂)の精神を尊重するとともに、四つのValuesを実践することで、当社のMissionを達成する。
◆グローバルにアクティブな運用力と販売力を持つ
-アモーヴァ・アセットマネジメントが目指す姿は
ドゥルーズ社長兼CEO 当社は、日本に本社を置くグローバル・カンパニーとして、体制を構築してきた。特に大切なことは、アクティブな運用力とサービスの販売力の両方を、日本はもちろん海外のそれぞれの拠点で持つことだ。こうしたビジネスモデルは、日本の運用会社の中で、かなりユニークだ。
当社の強みは、世界中でインハウス(自社)運用の力を持っていることだ。社員の約4分の1が、ポートフォリオ・マネジャーなど運用のプロフェッショナルだ。東京だけでなく、英国のエジンバラにはグローバル株式の運用チームが、ロンドンにはグローバル債券の運用チームがいる。さらに、ニューヨーク、ニュージーランド、シンガポール、香港をベースとする運用担当者もおり、「ワン・チーム」として機能している。
二つ目は、海外の運用会社とのパートナーシップの展開だ。独自の強みを持つ有力な運用会社とは戦略的にパートナーシップを結び、一部出資も含めて緊密な連携を構築して、その運用力を日本や世界の投資家につなげている。
例えば、中国株の運用では、深センの有力運用会社のロントン社に出資している。また、マレーシアでは現地の有力運用会社のアハム社、豪州では独立系運用会社のヤラ社、ロンドンではサステナブル投資に強みを持つオズモシス社、ニューヨークでは破壊的イノベーションへの投資に特化したアーク社、パリではプライベートアセット(未公開資産)運用を手がけるティケオー・キャピタルとそれぞれ戦略的パートナーシップを結ぶことで、双方向のやり取りを行い、当社の運用力を高めている。
◆サステナブル運用やプライベートアセットを強化
-注力するアセットクラスは
ドゥルーズ社長兼CEO 当社はこれまでも運用力の強化に取り組み、グローバルな運用体制を構築してきた。サステナブル運用やプライベートアセットを強化していく。
サステナブル運用については、2022年にアジアの運用会社として初めて、世界で最も厳しい英国のスチュワードシップ・コードのグローバルな署名機関となった。
プライベートアセットについては、地域分散の観点から、欧州の素晴らしい商品をアジアの投資家に広めていきたい。ダイレクト・レンディングや脱炭素化に焦点を当てた投資戦略などを提供していく。シンガポールで昨年12月、仏ティケオーとの合弁会社「ティケオー・アモーヴァ・インベストメント・マネジメント」を設立した。アジア市場に特化した革新的なプライベートアセット投資戦略の開発に取り組む。
◆日本株、30年越しのリバイバルで注目高まる
-商品・サービスの展開は
ドゥルーズ社長兼CEO 日本株は、30年越しのリバイバル(復活)を見せている。政府や取引所による戦略的な取り組みの成果であって、一過性のものではない。海外投資家も日本株に対して、高い関心を示している。
日本株を巡っては、例えばコーポレートガバナンス・コード(企業統治の原則)、スチュワードシップ・コード(責任ある機関投資家の原則)、資産運用立国、少額投資非課税制度(NISA)、東証改革など、いろいろな要素が絡み合って、いい方向に向かっている。こうした日本株の動きは、不可逆的なトレンドになっている。
これまで以上に日本株にフォーカスして、国内外の機関投資家に販売していきたい。
国内リテール向けファンドについては、プライベートアセット商品の開発やETF(上場投信)にも力を入れていく。また、適切なプロダクト・ガバナンスにも注力していく。このほど商品設定後の管理を適正に行うための委員会「プロダクト・ガバナンス・コミッティー」を新設した。当社のファンドが顧客の需要を満たしているか、手数料が適正か、時代に合った商品性か-などをチェックしていく。
◆女性が輝く環境づくりが重要、誰でも在宅勤務を可能に
-女性の活躍に必要なことは
ドゥルーズ社長兼CEO 女性が輝くことができる環境づくりからスタートすることが重要だ
当社では、デジタル化を推進し、希望者は誰でも在宅勤務を選択できる。ミーティングは全てハイブリッドで実施し、オフィスからも、職場外からも出席できる。こうすることで、たとえば子育て中や家族の介護が必要な社員でも、自宅や外出先の落ち着いたところで会議に参加できる。
デジタル会議は、「手を挙げる」機能を使うことで、誰もが公平に発言の機会が得られるので、よりインクルーシブ(包摂的)な環境になる。また、コンピュータの翻訳機能を活用することで、言語の壁を越えたコミュニケーションも可能になる。
さらに当社では、「グローバル・ダイバーシティ&インクルージョン・ポリシー」を策定し、新卒採用では女性比率50%以上を目指し、面談時には複数の面接担当者に必ず男女両方を含めるなど、採用時でも公平性を担保している。また国内外の拠点では、任意参加のワーキンググループが活動しており、イベントや啓発活動を通じて女性の活躍を後押ししている。
女性の活躍推進には、トップダウンとボトムアップの両面からのアプローチが不可欠との考えのもと、こうした環境を整え、「2030年までに女性の管理職比率を30%にする」という目標に向けて推進中だ。当社の経営陣は現在、ほぼ半数が女性だ。女性の管理職比率はグローバルには25%、日本は21%にまで順調に上昇している。社内からボトムアップで育成した人材であり、持続可能なダイバーシティの実現に向けた取り組みの成果が表れ始めている。