〔マーケット〕ボラティリティ上昇も米国経済の基調は変わらず=トランプ大統領の再就任で-日興アセット・神山氏
2025年01月22日 08時30分
日興アセットマネジメントは、四半期ごとにまとめる経済見通し「グローバル・フォーサイト」の2024年年末号をまとめた。チーフ・ストラテジストの神山直樹氏は、トランプ米大統領の再就任について「各国との交渉過程の発言で、短期的に市場のボラティリティが上昇することもあるだろうが、トランプ氏の政策が、中長期的に米国経済の成長力を低下させたり、インフレを上昇させたりすることはないだろう」と指摘した。主なポイントは、以下の通り。
◆雇用者数はソフトランディング
米国経済の減速により、雇用統計の非農業部門雇用者数の伸びが次第に鈍化し、ソフトランディングすることをメインシナリオにしている。この結果、新規に入ってくる移民が減少しても、人手不足やインフレになることはないだろう。米国内の不正移民の送還についても労働市場へのインパクトは小さいと見ている。
◆関税引き上げでも、インフレは継続せず
関税の引き上げについては、為替の調整や他国からの代替品などを考えることも必要だろう。関税が上乗せされて製品価格が上昇しても、貯蓄を取り崩して購入できる間は短期的にインフレになるだろうが、米国の消費を減退させてしまうのでインフレが継続するとは考えにくい。
トランプ氏の規制緩和でシェールガスの生産が盛んになると、原油価格の値下がりでインフレを低下させる要因になる可能性がある。
◆日本経済、「ヒト・モノ・カネの不足」が継続
米国の輸入が横ばいで推移する中、日本の輸出は高い水準で横ばい状況が継続すると見ている。「ヒト・モノ・カネの不足」が継続し、賃金が上がり、設備投資が増え、金利が緩やかに上昇していくだろう。日本経済に対する基本的な見方に変化はない。
◆株価、為替の見通し
日本の金利が上昇し、米国金利が低下する中で、2025年12月の円相場は1ドル=143円~144円へと緩やかに上昇するだろう。日経平均株価は、為替が円高になっても、国内消費と設備投資の拡大を背景に、4万2000円~4万3000円に上昇すると見ている。