公募株式投信(除くETF)、3.3%増の140兆円=4カ月連続で増加、過去最高を更新-12月の投信概況
2025年01月20日 08時30分
投資信託協会がまとめた2024年12月の投信概況によると、公募株式投信(除くETF)の純資産総額は、前月比3.3%増の140兆9198億円となり、4カ月連続で増加し、過去最高を更新した。
一方、公社債投信やETFを含む公募証券投信全体で見ると、純資産総額は前月比3.3%増の246兆0115億円となり、こちらは2カ月ぶりに増加に転じ、過去最高を更新した。
月間の新規設定ファンド本数は27本、償還本数は51本で、運用中のファンド本数は前月末比24本減少して、5776本になった。
◆19カ月連続で流入超
12月の公募株式投信(除くETF)の資金増減額はプラス8710億円と、19カ月連続で流入超となった。少額投資非課税制度(NISA)を通じて個人投資家が活発に投資信託を購入している。
一方、12月の運用増減額はプラス3兆9703億円だった。12月末は、日経平均株価が同4.4%上昇。月末の円相場は1ドル=158円18銭と、前月末に比べて7円44銭の円安だった。
12月の公募株式投信(除くETF)の純資金流入額を「設定」と「解約・償還」に分解すると、「設定」は3兆6414億円となり、前月より増加した。「解約・償還」も2兆7705億円に増加した。
2024年の年間平均は、設定が3兆6647億円、解約・償還が2兆3863億円だった。この結果、純資金流入の年間平均は1兆2784億円になった。
◆年間では、過去最高の純流入と運用益
公募証券投信(純資産総額約246兆円)について、年間の動きを見ると、資金増減額はプラス16.8兆円で、過去最高の純流入になった。また、運用増減額はプラス37.5兆円でこちらも過去最高だった。日経平均株価は前年末比19.2%高、NYダウは同12.9%高だった。円相場は対ドルで同11.5%、円安が進んだ。
◆NISA元年、年間を通じて資金流入が継続
松下浩一会長は、昨年1月にスタートした新NISAについて「期待していた以上に口座数が伸び、資金の純流入額が増加し、資産総額も増えた。年間を通して、順調な資金流入が継続した。特に『つみたてNISA』からは、毎月3000億円程度の資金が継続して入ってきた。」と評価した。
新年の状況については「2025年はまだ半月ほどだが、前年を上回る資金流入額になっている。引き続き、好調なNISAの伸長が見て取れる。口座数が伸び、未稼働の口座が動き出し、高水準の資金流入が続くと予想している」と述べた。
販売が好調なファンドの内容については、「引き続き、世界株式や米国株式に投資するファンドが人気だ。ただ、今はたまたま米国の株式市場に世界的に資金の流れが集中している。NISAの大きな目的は『投資を始めてもらう』ことであり、今はそうした目的に沿った形で、世界株や米国株のファンドに資金が流入する一局面だと考えている」と分析した。その上で「ずっと米国の市場が好調なわけではないし、場合によっては株式より債券のファンドが好まれたり、世界各国の株式が好まれたりする可能性もある」と指摘した。
さらに「『長期・分散・つみたて』は、投資の王道だ。資本主義の社会で、企業業績も拡大している中で、資産を増やすのであれば、『長期・分散・つみたて』が、過去のデータを見ても正解であることが証明されている。投信協会ではこれまでも強く言い続けてきたし、『長期・分散・つみたて』が投資の基本であることを、今後も発信していく」と述べた。
◆インデックスファンドの割合が35.6%に上昇
公募株式投信(除くETF)の純資産総額に占めるインデックスファンドの割合は35.6%(昨年12月末は29.2%)に上昇した。
松下会長は「インデックスファンドの割合が徐々に上昇しており、この傾向はおそらく当分続くだろう。信託報酬や販売手数料が漸減しており、こうした傾向も続くとみている。米国でもこうした傾向が高まっており、インデックスファンドを運用する会社に資金が集中しており、アクティブファンドを運用する会社は、特徴のある運用を行う『ブティック型』の経営形態になっている」と指摘。「日本の運用会社も、アクティブファンドを魅力ある形で展開することが課題になっている」と話した。