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日本株の長期上昇トレンドは変わらず=2日の急落は、海外投機筋の動きか-三井住友DSアセットの市川氏

2024年08月02日 14時50分

三井住友DSアセットマネジメントの市川雅浩チーフマーケットストラテジスト

 2日の東京株式市場は一時、日経平均株価が2000円超下落するなど大きく値を下げた。三井住友DSアセットマネジメントの市川雅浩チーフマーケットストラテジストに、急落の要因や今後の見通しを聞いた。

◆米国の弱い経済指標がきっかけ

-株価下落の理由は

市川氏 株価の急落の背景には、昨夜発表された米国の経済指標が市場の予想を下回り、米国の景気がマーケットの想定以上に悪いのではないか、という警戒感が強まったことがある。

 米国の金融政策については「9月にも利下げが行われる」という見方が広がっていたが、米国の景気減速が予想以上に強ければ「利下げ時期が遅いのではないか」という心配が出てきたようだ。

 一方、日銀は7月31日、予想外のタイミングで追加利上げを実施した。市場では、日銀は年内にもう1度、利上げを行うだろうとする見方が強まっている。日米とも、マクロ環境の先行きについて、少し心配が強まっているという雰囲気だ。

 ただ、2日の東京市場の株価急落は、マーケットが先走っていて、株価の反応が大き過ぎるという印象を持っている。これまでにも米国景気の弱さを示す経済指標は出ていたし、日本についても、物価上昇を除いた実質金利はマイナス水準であり、景気は支えられると日銀は見ているためだ。

◆先物主導で大きな動きに

-投資家の動向は

市川氏 これまでの日経平均株価の推移を振り返ると、6月の第4週から急速に上昇し、7月11日に4万2224円という終値ベースの史上最高値を付けた。その後、急落している。

 こうした動きは誰が主導しているのだろうか。東証が公表している主な投資主体別の売買動向を見ると、6月の第4週以降の急上昇と急落は、海外投資家の先物取引による投機的な動きであることが分かる。

 2日の急落も、海外投資家の先物取引による投機的な動きが主導した可能性が高いので、実体の日米の経済よりも、株式市場が大きく下落してしまった可能性がある。

 投機筋は、先物取引を売った後、利益確定のために買い戻すので、これから出てくる米国の経済指標の内容がそれほど悪くなく、「米国経済はソフトランディングする」との見方が戻ってくれば、先物取引に買い戻しが入る可能性がある。

 長期投資家は、短期的な投機の動きに振り回される必要はないだろう。

◆大きく変化する日本経済と企業

-中長期的な見通しは

市川氏 中長期的な視点で見ると、先物よりも現物株式の動きが重要だ。現物株を売買する年金基金などの機関投資家は、年明け以降、累計で買い越しを続けている。

 また、日本のマクロ経済の動向を見ても、昨年から賃金と物価に大きな改善が見られ、ともに上昇することで経済の体温が温まってきている。また、日本企業も、東証の呼びかけを受けて、資本効率改善に向けた意識が高まり、かってないほどに大きく変化している。

 こうした点を踏まえると、海外投資家の現物買いが、日本株を中長期的に支えていく動きが拡大しつつあると思う。短期的な相場変動に右往左往する必要はない。日本のマクロ経済と日本企業が変化してきていることを考えれば、日本株式の長期的な上昇トレンドは変わっていない。

 

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