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成長は緩やかでバラつきの大きなものに=2024年の世界経済見通し-アムンディのモルティエ氏

2024年04月01日 13時00分

ヴァンサン・モルティエ氏

 欧州の大手運用会社アムンディのグループCIO(最高投資責任者)で、アムンディ・ジャパン会長のヴァンサン・モルティエ氏が来日し、2024年の世界経済について「成長は緩やかで地域間でバラつきの大きなものになるだろう」と語った。

 主要国の24年の成長率は、米国が1.8%(23年は2.5%)に、ユーロ圏が0.2%(同0.5%)に、それぞれ減速する見通しだ。米国経済については「国内総生産(GDP)に対する債務残高が、第二次世界大戦時に匹敵する水準に上昇しており、今後は金利支払いが膨らむだろう」と指摘した。欧州については「税収が減少している一方で財政赤字を積み増せないため、財政面の対応策が限られている」という。

 こうした中、相対的に良い経済環境にあるのはアジアだ。日本については24年の成長率予想を1.1%(23年は1.9%)とした。「新しい経済のサイクルに入り、これ以上のデフレはないだろう」と指摘した。このほか、インドを6.3%(同7.7%)、中国を3.9%(同5.2%)と予想した。

 世界的なインフレについては「ゆっくりではあるが着実に低下しつつあり、米国と欧州では3%以下に安定していくだろう」と指摘した。ただ、「(インフレ対策の)最後の詰めは最も困難であり、地政学リスクやコモディティ価格動向により、インフレが再び上昇することもありうる」と述べた。

 こうした中で、米国と欧州の金融当局は、経済が軟化しつつあることに対応し「早ければ5~6月にも利下げを行うだろう」と指摘した。

(出所)アムンディ・ジャパン(出所)アムンディ・ジャパン(クリックで表示)

 日本株については「少額投資非課税制度(NISA)の成功が、相場の下支えになるだろう」と評価した。一方、米国株は「米大統領選についてトランプ前大統領の再選シナリオを織り込み始めており、堅調さが続いている」と述べた。また「株高の背景には、市場の予想を上回る経済成長や企業業績があるが、米国経済は大きな財政赤字を抱えており、脆弱性の上に成り立っている」と指摘した。

 

 

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