カーボンニュートラル、日本企業も積極対応=2050年までに過半数が達成-フィデリティ調査
2021年03月08日 10時56分
温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする「カーボンニュートラル」に、日本企業も積極的に取り組んでいることが、大手運用会社フィデリティ・インターナショナルの調査で分かった。同社のアナリストは、調査対象としている日本企業のうち、3分の1が2040年までに、過半数が2050年までに達成するだろうと予想している。
世界全体で見ると、2040年には4割強、2050年には6割強の企業が達成すると予想しており、地域別では欧州企業が先行していること分かる(図)
カーボン(炭素)ニュートラルとは、二酸化炭素などの温室効果ガスの排出量と吸収量を同じにしてプラスマイナスゼロにすること。菅義偉首相は昨年10月の所信表明演説で「50年までに実現を目指す」と宣言した。また、今月5日には鉄鋼最大手の日本製鉄が50年までに「ゼロカーボン・スチール」の実現を目指す中長期経営計画を発表するなど、企業の対応も本格化している。
フィデリティ投信(本社、東京)の井川智洋ディレクター・オブ・エンゲージメントは、日本企業の対応について、「温室効果ガス等のデータ開示を検討している『気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)』に賛同する企業数や、温室効果ガスの排出について調査する『カーボン・ディスクロージャー・プロジェクト(CDP)』から格付け『A』を取得している企業数は、世界をリードしている」と評価。
「日本企業の環境技術を活用した成長機会は大きく、気候変動の領域における日本企業の活躍には目覚ましいものがあることから、世界中で3000兆円を超えると言われるESG関連の投資資金を獲得する余地は、非常に大きいと確信している」と話している。
この調査は昨年12月~今年1月、フィデリティ・インターナショナルに所属する144人のアナリストの分析を集計した。(了)