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11月末の投信残高、0.4%増の163兆円=過去最高に次ぐ水準に-投信協会

2022年12月15日 09時15分

 

 投資信託協会がまとめた11月末の公募投信残高は、前月比0.4%増の163兆2601億円となり、2カ月連続で増加した。国内外の株価が上昇したことで運用益が増加し、2021年12月末の過去最高(164兆5000億円)に次ぐ規模になった。

 また、「海外株式型」や「資産複合型」に個人投資家の資金流入が続いており、設定から解約等を差し引いた資金増減額は5152億円の純資金流入だった。67カ月連続の流入超過となり、過去最長を更新した。

 松谷博司会長は、11月の動向について「市況が下がったときに購入する『逆張り投資』の動きも見られるが、『つみたてNISA(少額投資非課税制度)対象ファンド』の残高が増加し、投信の積み立てを実行する人の割合が高まっており、積み立て投資が定着してきたのではないか」と評価した。

 また、政府・与党が2023年度の税制改正大綱で投資優遇制度の拡充を検討していることについては、「制度の充実もさることながら、政府が『資産所得倍増プラン』を策定し、一般の生活者の資産形成を重要な国家戦略として位置付けたことに、一番大きな意味がある」と指摘した。さらに「それに向けて、金融教育を充実させ、投資を始める『誘因』や『きっかけ』となる投資優遇制度を拡充することが大切だ」と述べた。

 優遇制度の中身については、「年齢を問わず、自分のライフスタイルに合わせて、いつでも資産形成を始められる制度にすることが大切だ」と指摘した。長い人生を考えると、例えば家の購入や子育てなどで資産形成が中断してしまうこともある。「年間の投資枠の上限を高くすることで、例えば、生活に余裕ができる50歳から資産形成を再開しても、一定の資産を形成できるものになるだろう」と述べた。

 さらなる課題については「今年の議論では、NISAや金融教育の拡充に焦点が当たっている。一方、企業型DC(確定拠出年金)やiDeCo(個人型確定拠出年金)の議論は、今後予定されている公的年金の財政検証を終えてからになるだろう」と述べた。その上で「確定拠出年金とNISAは、国民の資産形成の2本柱なので、来年以降、丁寧な議論を通じて、DC・iDeCoのさらなる利便性の向上や制度拡充を進めることが重要だと思っている」と述べた。

 また「一般の人が初めて資産形成に触れる場は、職場というケースが多いので、職域における資産形成の啓発・普及活動が重要になる」と指摘した。「『資産形成を始めようか』と迷っている人はまだまだ多いので、職場で提供されるDC・iDeCo・職場NISAなどで、資産形成に触れる機会を得ることが大事だ」と述べた。

 さらに、投資の意義について「資産形成するといった経済的な効果に加えて、投資によって『社会に参画し、自分たちの住みやすい未来社会を創る』という効果に対する理解が浸透することが望ましい」と指摘した。こうした意識が高まることで、「お金に振り回されることなく、地道に長期に資産形成する意識が高まるだろう」と述べた。

◆投信の割合、DCで6割、iDeCoで7割に上昇

(出所)投資信託協会「投資信託の主要統計」20ページ(出所)投資信託協会「投資信託の主要統計」20ページ(クリックで表示)
出所)投資信託協会「投資信託の主要統計」21―1ページ出所)投資信託協会「投資信託の主要統計」21―1ページ(クリックで表示)


 運営管理機関連絡協議会のまとめによると、2022年3月末の企業型DC(確定拠出年金)の資産額は17兆8140億円だった。このうち投資信託等で運用している割合は57.9%と、ほぼ6割になっていることが分かった。

 また、国民年金基金連合会のまとめによると、22年3月末のiDeCo(個人型確定拠出年金)の純資産額は2兆1901億円だった。投資信託等で運用している割合は69.4%と、7割程度に達している。


【投信協会】投資信託の主要統計等ファクトブック
https://www.toushin.or.jp/statistics/factbook/index.html

 

 

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