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リスクを理解することが重要=新成人や高校生にアドバイス-ウェルスナビの牛山氏

2022年04月18日 09時00分

ウェルスナビ(本社東京、柴山和久社長)の執行役員・リサーチ&クオンツの牛山史朗氏

 4月に成人年齢が18歳に引き下げられ、親の同意がなくても金融商品を購入できるようになった。また、学習指導要領が改訂され、高校の家庭科などで資産運用を学習する。ロボットアドバイザー最大手ウェルスナビ(本社東京、柴山和久社長)の執行役員・リサーチ&クオンツの牛山史朗氏に、新社会人や高校生に対するアドバイスを聞いた。

-資産運用に当たって大切なことは。

牛山氏 リスクを理解することだ。トラブルに合わないように、投資の世界では「短期的に確実にもうかる」という話はないことを知っておくことが大切だ。学習指導要領が変わり、高校の家庭科で資産形成や投資商品を学ぶようになったが、高校生のときからリスクをしっかり理解してほしい。

 「価格変動の大きさ」もリスクと言う。金融商品は、値上がりすることもあれば、値下がりすることもある。「リスクは怖いから近づかない」ということではなく、「リスクをどのように低減するか」という観点が大切だ。例えば、当社のロボットアドバイザー「WealthNavi」は、「長期・積み立て・分散」投資によって、リスクを低減する考え方を採用している。

 「投資にはリスクがある」が、反対に「投資をしないこと」もリスクになる。投資をしなければ、現在の低金利の環境下ではお金が殖えていかないし、将来、必要な資金を確保できなかったりするのではないか。さらに、物価が上昇していく中で、お金の価値が低下してしまうというインフレのリスクもある。


-投資をする上でポイントは。

牛山氏 若いうちは「手元にあるお金をどうやって殖やすか」に集中し過ぎず、将来、大きなお金を運用するときに備えて、投資の正しい方法を身に付けることを考え、少額から投資を始めてみることが大切だろう。

 人間は、心理状態によって誤った行動を取りやすい。いろいろな相場変動の中で、資産価値がどう変化するか、時間をかけて体験していくことが必要だ。例えば、コロナショックで大きく株価が下落することがあったが、そこで売ってしまうのではなく下がったときでもしっかり持ち続けていれば、相場が回復して資産が殖えた。こうした投資の成功体験を積むことで、リスクをコントロールしながら投資する方法が身に付くだろう。


-家庭での金融教育は。

牛山氏 家庭内でお金の話ができる環境を作ることも重要だ。家庭でもお金の話をすることで自分事として理解が深まる。収入がどうなっていて、どんなところにお金を使っているか-、といったことを知ることも重要だろう。親世代も資産形成を実践し、家庭で話せるようにすることが大切だ。


-広い意味での投資は。

牛山氏 若い世代は、自己投資も大切だ。自分のスキルを高め、さまざまな能力を身に付けることで、収入を増やすことができる。収入を上げることができれば、資産運用で得られるリターンを大幅に上回る成果を得ることも可能だろう。若いうちから、自己投資を我慢してまで、無理に資産運用を行う必要はないと考える。自己投資を優先し、余裕が生まれた分を資産運用に回すのがよいだろう。


-「WealthNavi」の工夫は。

牛山氏 資産運用に当たっては、「自分がどれくらいリスクを取れるか」というリスク許容度を把握することが大切だ。当社のロボットアドバイザー「WealthNavi」では、簡単な五つの質問に答えると、リスク許容度が診断できる。また、それに合わせて、国内外の株式や債券などに分散投資を行う。「長期・積み立て・分散投資」を実行することで、世界の経済成長を少し上回る程度のリターンを目指している。

 運用を始めた後も、「WealthNavi」が分散投資を継続していく。資産運用を任せることができるので、豊かな人生の実現に向けて、大切な時間を有効活用してもらえる。運用状況は、スマホなどで手軽に確認できるので、安心だ。また、長期に投資を継続していただけるように、情報発信も充実させている。

 新社会人の方であれば、数十年にわたって資産を築いていきたいという思いで資産運用を始める方が多いはずだ。無理なく続けられそうな「長期・積み立て・分散」の資産運用を選んで、それぞれの本業や、自身が好きなこと、人生を豊かにできることに、時間を使ってほしい。

 

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