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プライベート資産投資、富裕層を中心に拡大=コスト、リスクなど十分な理解が重要に-モーニングスター・ジャパン

2026年06月23日 08時00分

元利大輔マネジャー・リサーチ部長

 モーニングスター・ジャパンは、「急拡大する個人投資家のプライベート資産投資」をテーマにメディア説明会を開催した。

 プライベート・エクイティ(未上場株)やプライベート・クレジット(ファンドによる直接融資)などのプライベート資産投資は機関投資家向けの運用が中心だったが、このところ富裕層を中心に個人投資家向けの商品が増え、外国籍を含む日本で販売されているプライベート資産に投資する投資信託の純資産総額は1.5兆円程度(2026年3月末)に拡大している。

 元利大輔マネジャー・リサーチ部長は、プライベートアセットに投資する際の注意点について「コストが多層的で複雑だ。また、解約には制限がある。本質的に低リスクではないことを、十分に理解しておくことが重要だ」と指摘した。主なポイントは以下の通り。

◆上場株の減少や、金利上昇が影響

-プライベート投資が拡大している背景は

元利氏 一つ目は、米国の上場株式の減少だ。同国では上場企業数が過去25年間で半減する一方で、未上場企業は約8万社に増加している。企業の成長機会を見つける場として、プライベート・エクイティが注目された。

 二つ目は、金利環境の変化だ。金利上昇により債券価格が低下している。金利水準が低い中ではインカムゲインも少ないため、プライベート・クレジットに目が向いた。プライベート・クレジットは、固定金利ではなく、変動金利なので金利上昇に強い。

◆個人投資家向けに流動性を付与

-プライベート商品の特徴は

元利氏 米国のプライベート資産投資は、機関投資家を中心に拡大してきた。「ドローダウン・ファンド」と呼ばれ、運用期間は通常10年前後で、キャピタルコールに応じて段階的に資金を払い込む。最低投資金額が高く、解約は「原則不可」で、流動性は「非常に低い」。

 一方で、機関投資家向けの販売が一巡する中で、個人投資家向けの商品が広がり始めた。解約は四半期ごとにファンド全体の5%以内などの「条件付きで可能」としており、やや流動性を付与した「セミリキッド・ファンド」だ。一括で投資できて、運用期間は「無期限」のものが多いことから「エバーグリーン」とも呼ばれる。

 米国では、セミリキッド・ファンドの残高が、過去3年間で倍増している。日本で販売されるプライベート資産の投資信託は、米国の著名な運用会社のプライベート商品に投資する仕組みになっている。

◆「コスト」「流動性」「リスク」「透明性」で十分な説明が必要

-プライベート資産投資で注意する点は

元利氏 モーニングスターでは、運用の選択肢が広がることは良いことだが、「運用会社と投資家の間で『情報の非対称性』があるのではないか」という点に問題意識を持っている。

 一つ目はコストの問題だ。多層化・複雑化し、分かりづらい構造になっている。日本から海外の商品に投資をすると、国内ファンドの報酬に加えて、海外の投資先ファンドに報酬が発生する。成功報酬を払うものもあり、その内容が分かりにくい。また、コストに関する情報開示が十分でないファンドも見受けられる。

 二つ目は流動性の問題だ。富裕層向けのプライベート商品では一般的に、四半期ごとに解約が可能だが、ファンド全体で解約請求額が純資産総額の5%を超えると、解約が制限される。プライベート資産は流動性が低くいため、無理に売却しようとすると、不利な条件になってしまい、ファンドに残った投資家が損を被ることになる。投資家を保護する措置であり、悪いものではなないが、投資家にきちんと説明し、理解してもうらことが重要だ。

 三つ目はリスクの問題だ。プライベート商品は、市場価格ではなく、定期的に純資産価値(NAV)を評価する、このため、価格変動が相対的に緩やかで、見かけ上は低リスクに見える。ただ、評価者により純資産評価が異なったり、そうした評価のバラつきが収れんされる過程で評価が大きく変化したりする可能性もある。

 プライベート・エクイティは小型株の延長線上にあるアセットクラスであり、プライベート・クレジットはハイイールド債の延長線上にある商品だ。「本質的に低リスクではないこと」を、しっかり説明することが必要だろう。

 四つ目は透明性の問題だ。開示内容や評価方法について、さらに透明性を高めることが必要だろう。十数年前に通貨選択型ファンドが流行したが、商品性が複雑で、今では残高が大きく減少している。一方、日本では今、「シンプルで、低コストで。分かりやすい商品」が人気を集めていることに、留意が必要だろう。

◆プライベート資産投資の「真の民主化」を推進

 モーニングスターでは、プライベート資産投資の「真の民主化」に向けて、複雑なコスト構造を、共通シナリオに基づく標準化された指標で可視化して提供している。

 また、モーニングスター・メダリスト・レーティングは、運用プロセスや運用担当者、運用費用などの観点から体系的な評価を付与しており、プライベート資産ファンドの中身を投資家が理解しやすくなることで、ブラックボックス化の解消を支援している。

◆投資家の成功を手助けする

-モーニングスターとは

(チャン・ユーツン社長)(チャン・ユーツン社長)

チャン・ユーツン社長 モーニングスターは1984年に米国シカゴで、個人投資家に投資信託の情報を正確に伝えることを目的に設立された。世界約30カ国でサービスを展開している。

 私たちのミッションは「Empowering Investors Success」(投資家の成功を手助けする)だ。長期投資の視点を、独立の第三者の立場から、高い透明性をもって提供している。

 ファンドデータに加えて、ファンドの過去のパフォーマンスを分析して格付けを付与した「モーニングスター・レーティング」や、将来見通しに関するアナリストの定性的な評価を加えた「モーニングスター・メダリスト・レーティング」を提供している。

 このほか、株式のリサーチや、ESGレーティング、インデックスの組成・提供など、多角的に経済金融情報を提供している。

 モーニングスター・ジャパンは、独立・中立の立場でファンド情報を提供するため、3年前にSBI証券からモーニングスターのブランドを買い戻して設立された。ファンドのレーティングのほか、投信市場を分析した国内外の調査レポートを提供している。

 さらに昨年12月には、一般投資家を支援する投資情報ポータルを立ち上げた。国内外の情報を日本語で提供している。投信・株式の情報を検索したり、モーニングスターのレーティング情報を閲覧したりできる。

 

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