インフレから資産を守る運用を目指す=「東京海上・世界モノポリー戦略株式ファンド」-マゼラン・アセットのマクビカー氏
2026年08月07日 07時00分
(ベン・マクビカー氏) 東京海上アセットマネジメントが設定・運用する「東京海上・世界モノポリー戦略株式ファンド」の実質的な運用を行っているマゼラン・アセット・マネジメント・リミテッドの共同リード・ポートフォリオ・マネジャー、ベン・マクビカー氏が、来日した。
このファンドは、日本を除く世界株式の中から、高い参入障壁により一定の地域においてモノ・サービス等を独占・寡占している「モノポリー企業」を候補銘柄として、持続可能な競争優位性を持つ企業に厳選投資している。
マクビカー氏は、「日本経済はデフレからインフレに転じた。この運用戦略は、資産の成長だけでなく、インフレ環境に相対的に強いということが特徴だ」と話した。主なやりとりは以下の通り。
◆生活に不可欠なサービスを提供する企業
-この運用戦略の特徴は
マクビカー氏 この運用戦略は、「モノポリー企業」の長期的で構造的な成長の恩恵を提供することを目指している。さらに、資産を守る観点から、下値耐性を持った運用に主眼を置いており、他のアセットクラス、特に一般的な世界株式に対して、相関が低くなるような運用を目指している。
投資先選定の着目点の一つ目は、「私たちの社会に必要不可欠なサービス」を提供していることだ。例えば、水道、電気等は、毎日の生活で使うものであるため、利用者数の増加による需要の拡大が見込みやすく、利益成長の予見可能性が高い。
二つ目は、「一定の地域において、モノ・サービスを独占」していることだ。高い参入障壁に守られて競争にさらされていない企業や、競争優位性により高い価格決定力を持っている企業は、安定した業績が見込まれる。
ただ、政府の権限の強い国では、例えば料金設定に政府が関与することがある。こうしたカントリーリスクを除いて、投資銘柄を決定している。
近年は、国際紛争等のさまざまな地政学リスクが高まった。ただ、そうした環境下でもモノポリー企業はリスクの影響を受けにくく、この運用戦略の成果も安定したものになったと考えている。
◆インフレはサービス価格に転嫁
-モノポリー企業の強みは
マクビカー氏 モノポリー企業の強みの一つ目は、インフレを料金に転嫁できることだ。例えば、インフレをそのまま料金に反映させる「料金連動型」、インフレに応じて資産価値の評価を引き上げる「資産価値連動型」、インフレによるコスト上昇分を、当局に申請し認可を得て値上げする「コスト転嫁型」などがある。
二つ目は、株価のダウンサイドのプロテクションが強いことだ。経済環境にかかわらず需要が安定しているので、株価の下落幅が抑制されることが期待される。
世界経済の構造的な成長の恩恵を受けている点も強みだ。電力需要はAIデータセンターの拡大により世界的に高まっている。また、空港や有料道路の利用者は増加している。老朽化したインフラを更新するために、巨額の投資が行われていることも、プラス材料だ。
◆競争にさらされた企業は、対象から除外
-AI関連のインフラへの投資は
マクビカー氏 この運用戦略が投資している投資ユニバースには、水道・ガス・電力(送配電)などの「公益サービス」や、空港・有料道路・港湾・鉄道などの「交通・輸送サービス」、病院・学校といった「社会サービス」がある。
この運用戦略は、競争にさらされている発電事業に投資していない。今は、発電や電力小売企業については、AIデータセンター需要の追い風を受けているかもしれないが、電力の卸売価格は安定していないので、投資対象から外している。
また、データセンター企業にも投資していない。規制で守られておらず、データセンター間の競争があるなど、モノポリー企業と比べると安定性が低いと判断した。
◆「CPIプラス5%」の目標を達成
-運用実績は
マクビカー氏 マゼラン社は、「世界モノポリー株式戦略」を2012年から運用している。この間、金融危機や戦争、インフレ、利上げなどさまざまなイベントや景気サイクルを経験してきたが、ダウンサイド・リスクに対する強みを発揮してきた。
この運用戦略は、「資産を守りながら、長期的に成長させる」ことを目標に掲げ、一つの経済サイクルを通して、「消費者物価指数(CPI)プラス5%」の年率リターンを獲得することを目指している。設定来のパフォーマンスを見ると、2026年6月末時点で年率9.8%のリターンを上げており、目標を達成している。
また、投資元本を保全するため、「下落リスクを抑制すること」を目標にしている。過去の実績を見ると、世界株式が5%以上下落した局面において、この戦略の下落追随率は、世界株式の60%程度にとどまっている。
◆資産を守りながら、長期的に成長させる
-今後の見通しは
マクビカー氏 世界的に金利が安定してきた。インフレについては、一時期よりも低下して適度な水準で落ち着いている。引き続き、「CPIプラス5%」の目標を、継続的に達成することを目指していく。
AIブームの影響もあり、株式インデックスに占めるAI関連株の割合やGDPに占めるAI産業の比率は高まっているが、そうした動向は注意深く見守っている。
AIブームはこの運用戦略にとっても追い風であり、もし仮にAIブームが変調をきたした場合は、下値耐性を発揮すると考えている。
◆日本経済はインフレに転換
-日本の投資家にアドバイスは
マクビカー氏 日本経済はデフレからインフレに転換した。そうした中で、政府のイニシアティブで「貯蓄から投資へ」が進められ、少額投資非課税制度(NISA)の口座が拡大している。
投資に当たって重要なことは、「リターンだけでなく、リスクについても考えることだ」と思う。この運用戦略は、今後も不安定な相場環境が続く中においても、インフレに強く、リスクを抑えつつ安定的なリターンの獲得を目指している。ポートフォリオに組み入れていただくことで、お客さまの資産運用に役立つのではないかと考えている。



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