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WEEKLY 2020年12月13日号

中国の電気自動車メーカーは「次のテスラ」ではない

NIO, XPeng, and Li Aren’t the Next Tesla

ニーオ、シャオペン、リ・オートの3銘柄を検証

バリュエーションは割高

Illustration by Harry Campbell

中国の電気自動車(EV)メーカーであるニーオ(上海蔚来汽車)<NIO>、シャオペン(小鵬)<XPEV>、リ・オート(理想汽車)<LI>の米国預託証券(ADR)の株価上昇について考えてみよう。シャオペンのADRの株価は、8月27日の新規株式公開(IPO)以降で3倍に上昇し、直近では44.31ドルとなった。リ・オートは7月30日のIPOから180%上昇し、金曜終値は31.36ドルだった。2018年9月に上場したニーオのADRは約600%上昇し、金曜終値は41.98ドルとなっている。

これらの中国EV3銘柄の利益を確定するのは、賢明であるように思われる。第一に、3銘柄ともバリュエーションが割高である。2021年予想売上高に対する株価売上高倍率は、シャオペンが15倍以上、ニーオが11倍、リ・オートが約10倍だ。いずれの企業も、少なくとも今後2~3年間は大幅な黒字とはならないだろう。

これらの中国のEVメーカーは、業界、政府、市場に関する複数のリスクにも直面している。中国政府の補助金は減少しており、終了する可能性がある。中国におけるEV業界の競争は激化している。さらに、米国の基準に満たない会計慣行を採用している中国企業を上場廃止するための法案が議会で可決されたため、これらの企業の会計に悪い意味で注目が集まる恐れがある。

さらに、新型コロナウイルスのワクチン普及も迫っている。これにより、11月に見られたような、割高なグロース株から、パンデミックと世界経済の低迷によって特に大きな打撃を受けた割安株への乗り換えが加速しかねない。リスクへの認識が高まった結果、ニーオ、シャオペン、リ・オートの株価は11月下旬以降に平均30%下落した。しかし、株価はさらに下落する可能性がある。

中国政府は、環境面の懸念を理由として、2035年までに中国国内で販売される全ての自動車に占めるバッテリー駆動自動車の割合を50%へ引き上げることを目指すと表明した。今年の割合は約5%である。EVの普及を加速するため、中国政府は自動車の費用の最大30%に上る補助金を提供している。補助金の対象は消費者と中国の自動車メーカーである。

増益見通しやテスラとの類似で株価が高騰

米国に上場している中国EVメーカーは、3社とも中国による電動化の後押しを活用しようとする一方で、それぞれ独自の戦略を持っている。ニーオはバッテリーなしのEVを販売しており、バッテリーを自動車の買い手に月額約140ドルで貸し出している。自動車とバッテリーを分離することで、自動車の価格が安くなり、買い手にとってより魅力的となる。

ニーオは年初来で前年同期比111%増の3万6721台の自動車を販売している。同社は2014年の設立以来、約6万9000台を販売してきた。シャオペンとリ・オートと同様に、ニーオの販売は中国国内に限られる。ただし、ニーオとシャオペンは将来的に外国でも自動車を販売する予定である。ニーオの車種は3種類で、最も売れている高級スポーツ用多目的車(SUV)「ES6」の価格は補助金なしで6万ドル弱となっている。過去1年間の売上高は約18億ドルで、2021年のアナリスト予想売上高は46億ドルに上る。

2015年設立のリ・オートは、ガソリン発電機付きの自動車を販売している。発電機によって、プラグを利用できないときもバッテリーを充電することができる。唯一の車種である「Li ONE SUV」の価格は補助金なしで5万ドルとなっている。リ・オートは昨年終わりから出荷を開始しており、年初来で2万6498台を納入した。昨年の売上高は約7億7500万ドル、2021年アナリスト予想売上高は27億ドルである。

シャオペンはセダンとSUVを販売しており、自動運転技術に多額を投資している。2014年設立の同社は、年初来で前年同期比87%増の2万1341台の自動車を納入している。同社のSUV「G3」の価格は補助金なしで約2万5000ドル、高級セダン「P7」の価格は同約5万ドルである。来年の売上高は、過去1年間の売上高約5億3000万ドルを300%上回る21億ドルと予想される。

上記の数値が示す通り、中国EV銘柄は全く上昇に値しないわけではない。ゴールドマン・サックスのアナリストであるフェイ・ファン氏は、今月前半にニーオの投資判断を「売り」から「中立」に引き上げるに当たり、中国のEV普及のスピードが予想より大幅に速かったと述べた。同氏は現在、中国の新車販売に占めるEVの割合が2020年の5%から2025年には20%へ上昇すると予想している。

ニーオは2022年に黒字化し、2023年には0.79ドルの1株当たり利益(EPS)を計上する見込みである。2022年は、シャオペンは赤字となる公算が大きいが、リ・オートは0.20ドルのEPSを計上する可能性がある。

利益の増加見通しと、2022年予想株価収益率(PER)117倍に上る電気自動車大手テスラ<TSLA>との類似が、中国EV銘柄をめぐる投資家の熱狂に拍車を掛けている。これらの銘柄の時価総額は、今や従来型の自動車メーカーに近づいている。ニーオ、シャオペン、リ・オートの時価総額がそれぞれ約580億ドル、350億ドル、280億ドルである一方、ゼネラル・モーターズ<GM>は610億ドル、フォード・モーター<F>は360億ドルとなっている。

競争の激化と会計基準がリスク

割高なバリュエーションは株式を売却する理由にはならない。テスラだってバリュエーションは高い。しかし、中国のEV新興企業は潜在的なリスクに直面しており、そのリスクは株価に織り込まれていないように見える。例えば補助金は、パンデミックが直撃するまで、2020年に削減される予定だった。2月に自動車販売台数が前年同月比79%減少したため、政府は売上高を回復させるために方針を転換し、EV補助金を延長した。だが、補助金削減の可能性が全くなくなったわけではない。シャオペンが規制当局に提出した報告によれば、今後3年間で直接購入補助金は2019年比でそれぞれ10%、20%、30%減少すると予想される。

競争も過熱している。ニーオ、シャオペン、リ・オートは、生産できる限りの自動車を全て販売し、増産を試みている。しかし、速やかに増産することができないため、他の自動車メーカーが付け入る余地が残っている可能性がある。中国の大手自動車メーカーであるBYD(比亜迪)<1211.香港>は、2021年に中国市場向けに新たなEVを投入する予定だ。ゼネラル・モーターズ、フォルクスワーゲン<VOW3.ドイツ>、BMW<BMW.ドイツ>も同様である。

中国はテスラにとっても極めて重要な市場だ。同社は11月に中国で約2万2000台の「モデル3」セダンを販売しており、最近は中国製のクロスオーバー車「モデルY」の販売承認を取得した。ウェドブッシュのアナリストであるダン・アイブズ氏によれば、テスラの中国事業の価値は約1000億ドルに相当する。

会計上の問題も2社の中国EVメーカーに浮上している。シャオペンとリ・オートは、証券取引委員会(SEC)に今年提出した書類において、会計に関する内部統制に重大な脆弱(ぜいじゃく)性が存在すると述べた。両社は、米国企業が順守すべき会計原則を理解しているスタッフが十分に存在しないことに言及している。12月7日に提出された売り出しの目論見書において、シャオペンは問題解決のための変更を実施していると述べた。

会計に関する潜在的なリスクは二つの面から成る。会計上の誤りは、企業の決算内容の重大な修正につながる可能性があり、一般に投資家には歓迎されない。しかし、この問題はそれ以上に危険な可能性がある。なぜなら、中国企業が米国の監査基準を3年以内に満たさなければ、米国株式市場から上場廃止させる法案が、上院に続いて下院でも可決されたためだ。

上記のリスクは、中国のEV銘柄にとって直ちにリスクとはならないが、現在のバリュエーションには失敗できる余地がほとんどない。中国のEVに関する野心は壮大であり、利益をもたらす非常に大きな可能性がある。しかし投資家はいずれ、これらの企業の株式をより割安な買い場で購入できる時が来るだろう。

 

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