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スペースXの宇宙船打ち上げ、テスラ株に恩恵

SpaceX Will Launch Astronauts Into Space Tomorrow. Why Tesla Stock Will Benefit.

マスク氏への評価高まる

スペースシャトル後の新段階

米宇宙企業スペースXは27日午後(日本時間28日早朝)、フロリダ州のケネディ宇宙センターから有人宇宙飛行船「クルードラゴン」を打ち上げる。これは米国にとっての大きな出来事だが、電気自動車(EV)メーカー、テスラ<TSLA>の株価にとっても重要な出来事である。

 実業家、エンジニアであるイーロン・マスク氏は、スペースXとテスラ双方の最高経営責任者(CEO)を務めている。宇宙船の打ち上げに成功すれば、マスク氏の評価は高まるだろう。それはテスラにとって悪いことではない。

 米国は2011年、スペースシャトルの利用を終了して以降、米国本土からの有人宇宙飛行船の打ち上げは行っていない。それまでの30年間、スペースシャトルは宇宙飛行士を宇宙に運ぶ役割を担っていた。

 バロンズ誌は今回の有人宇宙船打ち上げを重視しすぎているかもしれない。実際のところ、これはテスラの事業ではない。それでも人を軌道上に送り出すのは小さな話題にとどまるものではない。われわれの見解では、今回の打ち上げがたとえ株式市場と直接関係していないものだとしても、人々は(テスラ株にも)注意を払うはずだと予想している。

無料の広告効果

そしてスペースXによる打ち上げは、テスラの株主に利益をもたらすという、否定できない側面を持っている。打ち上げはテスラにとって無料広告の意味がある。ゼネラル・モーターズ<GM>、フォード・モーター<F>など大手自動車メーカーは長年にわたり広告予算を計上している。マスク氏はテスラの新モデル投入に当たっての発言、宇宙事業、そして子どもの名付けなどで注目を集め、テスラ・ブランドの認知度を高めている。(訳注=マスク氏はミュージシャンのグライムスさんとの間に生まれた息子に「X AE A-12」という名前を付けた。AEはAとEの合字)

 GMとフォードは広告費として毎年、約40億ドルを費やしている。この額は2社合わせた総営業費用の約25%に当たる。もちろん乗用車は宣伝が必要である。そしてこれら2社とテスラの販売規模は大幅に異なる。GM、フォードは、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的流行)が到来する以前の時点で、合わせて年間で約1400万台の乗用車を販売している。テスラが2020年に目指す販売台数は40万~50万台だ。

宇宙関連の投資拡大へ

テスラの株価に及ぼす影響以外にもスペースXの有人宇宙船打ち上げには注目すべき理由がある。宇宙が再び投資可能な対象となりつつあることだ。通信衛星などを軌道に乗せるためにさらに多くの資金が投入されている。新たな宇宙開発競争によってコストは軽減されつつある。通信衛星は多くの家電と同じように、一層安価で、小さくなっている。そしてスペースXは再利用が可能な機体を開発することで打ち上げコストを引き下げている。

 スペースXは株式市場に上場されていない。しかし、依頼を受けた打ち上げごとに何百万ドルもの利用料を受け取っている。

 一方、テスラの株価は年初来で90%以上も上昇しており、同期間のS&P500種株価指数、ダウ工業株30種平均の株価を圧倒している。これに対しGMの株価は年初来で約24%安、フォード株は約36%安だった。さらにテスラの2021年予想利益に基づく株価収益率(PER)は約70倍。GM、フォードは10倍以下にとどまっている。

 マスク氏は現在、スペースX、テスラに加え、トンネルの掘削に特化した企業「ボーリング・カンパニー」を運営している。

 

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