サンプル(過去記事より)

スプリント株、4年ぶり安値

Sprint Lost Money for Another Quarter. The Stock Is the Lowest in 4 Years.

5四半期連続赤字、合併にハードルも

カリフォルニア州委員会が調査中

Photograph by Alastair Pike/AFP via Getty Images

ソフトバンクグループ傘下の米携帯電話大手スプリント<S>が2019年10~12月期(第3四半期)決算で再び赤字を計上し、株価は2016年以来4年ぶりの安値に沈んだ。TモバイルUSによる買収をめぐりカリフォルニア州公益事業委員会が調査中だとの報道も嫌気されている。

スプリントの第3四半期の収入は前年同期比6%減。純損益は1億2000万ドルの欠損と、5四半期連続で赤字を計上した。株価は27日午後、前週末から約2.7%下落した。

投資家の間ではスプリントの将来をめぐる不安が根強い。Tモバイルとの合併の差し止めを求め州司法長官らが起こした訴訟が続く中、事業やバランスシートは引き続き圧迫されている。

同社は契約者をつなぎとめるためのプロモーションを続け、第3四半期には10億ドル以上をつぎ込んだ。毎月支払いを行う契約者(データ通信含む)は49万4000人増えたが、電話契約が11万5000人減った。プリペイド口座は17万4000件減。また、契約者1人当たりの収入は平均で前年同期比3.7%減、プリペイドは14.1%減だった。

同社のコンブ最高経営責任者(CEO)は決算報告で「州司法長官らによる訴訟の判決を待っているが、Tモバイルとの合併は、米国の消費者に競争の恩恵をもたらす最善の方法だと引き続き考える」と述べた。

決算全般は多かれ少なかれ、アナリストらの予想通りだったが、彼らが強調するのは、スプリントがTモバイルとの合併をとても必要としているということだ。

スプリントの第3四半期末時点の純債務は341億ドル。これに対し、27日時点での時価総額は約200億ドル。

合併なければ民事再生法?

ネットワークは競争力に欠け、巨額の債務を抱えるスプリントは、携帯電話上位のAT&T<T>やベライゾン・コミュニケーションズ<VZ>と競争する資源がなく、Tモバイルと合併すれば、業界内の競争がより活発になると主張している。

モフェットナサンソンのアナリスト、クレイグ・モフェット氏は「顧客をつなぎとめておくにはネットワークが十分ではなく、解約率が高い」「このため、極めて積極的なプロモーションを行い、高解約率を相殺するために十分な顧客を獲得しなければならない。しかし、獲得した顧客がもたらす価値は、ネットワークへの再投資を支えるには不十分で、この絶望的なサイクルが続く」と述べた。

同氏のスプリントの投資判断は「売り」。目標株価を5ドルと設定しているが、27日午後に株価は4.70ドルだった。同氏はTモバイルとの合併が実現しなければ、最も可能性のあるのは連邦破産法11条(民事再生法に相当)下でのリストラだと分析した。

一方、報道によると、カリフォルニア州公益事業委員会は両社の合併案について調査中で、州司法長官らによる訴訟で両社が勝利しても、合併がさらに遅れる可能性が生じている。

スプリント株は先週末24日の取引終了時までの1年間で23%下落。これに対しS&P500指数のリターン(配当含む)は26%。また、AT&T、Tモバイル、ベライゾンのリターンはそれぞれ33%、18%、10%だった。