サンプル(過去記事より)
ウィーワークの失敗でウーバーに利益?
サントラスト「投資家はユニコーンより公開企業を選好」
ドアダッシュ、ポストメイツの資金調達、難しくなるか
投資家が、コストのかかる成長性ではなく、利益性がしっかりと見込まれる企業への資金投入を選好し、未公開企業への資金流入が枯渇したら、ライドシェア(相乗り)サービス大手ウーバー・テクノロジーズ<UBER>など、定評のある公開企業が恩恵を被るかもしれない―。サントラスト・ロビンソン・ハンフリーのアナリスト、ユセフ・スクワリ氏は21日、こう分析した。
共用オフィスのウィーワークは昨年、新規株式公開(IPO)申請の過程で、コーポレートガバナンス(企業統治)をめぐる問題が相次いで表面化し、IPO断念に追い込まれた。スクワリ氏は、この「ウィーワークの大失敗」で、「ユニコーン(未上場の有望新興企業)にとって資金調達がより厳しい環境」になったと指摘。ベンチャー投資企業ベンチマークのビル・ガーリー氏らの1月の発言を挙げ、ある企業が2億5000万ドル超を調達し、株式を上場していなかったら、この企業は大幅な損失を出していると想定されると述べた。
未公開企業に資金が流入しなくなると、ウーバーにとって市場シェアを拡大する好機が訪れる。恐らく、利益にも影響するかもしれない。
スクワリ氏は「現在の環境下では、(食品宅配の新興企業である)ドアダッシュやポストメイツが新たな資金を調達することがより難しくなる可能性があり、両社は節約のためマーケティングや値引きを減らすかもしれない」と書いた。
これに対しウーバーは、配車サービスで利益が出ており、食品宅配事業でより多くの顧客を獲得するための、てこにできる。同社は21日にインドの食品宅配事業を売却したが、スクワリ氏は「財務規律が高まりつつある」ことや「(2021年度の)黒字化への明確な道筋」を示していると述べた。
規制面で逆風残る
同氏の分析によると、「ウーバー・イーツ」の月間ダウンロード数は、8月以来は横ばいにとどまっているが、ドアダッシュやポストメイツは、それぞれ18%、47%減少した。この数字は、顧客が通常のウーバーのアプリからもウーバー・イーツにアクセスできることを考慮すると、驚くべきものだ。
ウーバーには好ましい要因があるが、一方で、規制面では依然、逆風に直面している。カリフォルニア州の法案は、請負労働者を従業員とすることをウーバーに強制できる。また、同社がロンドンでの事業展開が可能かどうかも疑問だ。
同社の株価は21日の早い段階で3.1%高。