サンプル(過去記事より)
ボーイング株、依然リスキー
新たなソフトウエアの問題
航空当局の承認まで投資判断留保を
ボーイング<BA>は、運航が停止されている737MAXのソフトウエアをめぐり新たな問題に直面している。ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)などの17日の報道を受けて、ボーイング株は2%超下落した。737MAXの運航再開時期に影響するかどうかは不明だ。
737MAXについては依然不透明なことが多く、投資家はボーイング株に関する判断を、少なくとも連邦航空局(FAA)が737MAX改修案を承認もしくは、差し戻したりするまで、待った方がいいかもしれない。
ボーイングはWSJに対し「必要な改修を行ったり、この改修の届け出をめぐりFAAと作業したりしているほか、顧客やサプライヤーに情報を伝えている」と語った。本誌には「ボーイングの優先事項は、運航を再開する前に、737MAXが安全で、すべての規制を満たようにすることだ」と述べた。
737MAXは2件の墜落事故を受けて、2019年3月から世界全体で運航が停止されているが、いずれの事故も、(失速を防ぐための)新たな飛行制御システム「MCAS」に一因があるとされている。
ボーイング株は17日に2.4%安の324.15ドルで終わった。エチオピア航空で発生した、2度目の墜落事故以来、約23%下落している。おおざっぱだが、時価総額で650億ドル吹き飛んだ。
投資家は数カ月にわたり、どれだけ下げれば十分かという疑問と格闘してきた。いつボーイング株が、容認できる安全圏に到達したのか。
MAX問題は「先例ない」、不透明性高い
従来はボーイングや、同社ライバルのエアバス<AIRフランス>、そしてその他航空機メーカーは、多くの場合、5年、10年間という期間で、市場全体のパフォーマンスを上回り、極めて良い投資先だった。その理由は二つある。
第1に飛行機を使った旅行の需要が増加を続けていることだ。過去10年、年間約5~7%伸びていた。より多くの航空機が、仕事や休暇先へ人々を運ぶのに必要だ。
第2に大型商用機を製造する大手が2社しかない。ジェット機1機でも設計、承認、そして売るには、数十億ドルと長い年月がかかるためだ。
このような業界構造により、航空機株には弾力性があった。何か問題が生じた時には、逆張り投資家が買う良いチャンスを提供する。モントリオールに拠点を置き、逆張り投資を行うヘクサベストは第4四半期にボーイング株を買い増した。
彼らの戦略は過去に基づいている。現在はトランスダイム<TDG>の一部となっているエスターラインの株やウッドワード株<WWD>、さらにボーイングのサプライヤーであるスピリット・エアロシステムズ株<SPR>は全て、コスト超過や設計の遅れなど、問題が出て下げたあとに反発している。過去は。
しかし、ボーイングはどうか。737MAXは、ざっくりとした推定だが、同社の売り上げ・利益の30%を占める。MAX危機で、ボーイングの時価総額は23%減った。恐らく、それで十分かもしれない。投資家にとっての問題は、不透明さの度合いが依然高いということだ。MAXをめぐる状況を、航空業界の利害関係者らは「先例がない」と言っている。
この不透明さから、FAAやその他当局がMAXを再認証する以前に、ボーイング株を推奨することは難しい。