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学校、企業、個人に「気軽に利用」を呼び掛ける=「金融経済教育の関心は極めて高い」-J-FLECの安藤聡理事長

2025年02月12日 08時15分

安藤聡理事長

 金融経済教育推進機構(J-FLEC)の安藤聡理事長は2月6日にメディア説明会を開催し、「J-FLECにおける金融経済教育の推進に向けた取り組み」について話した。

 この中で、「金融経済教育に対する関心、期待、ニーズは極めて高いことを実感し、手応えを感じている」と指摘。「今後、さらにJ-FLECの認知度を高め、学校、企業、個人の皆さんに気軽に活用していただけるよう、積極的な広報活動と事業展開を進めていく」と抱負を述べた。主なポイントは以下の通り。

◆「ファイナンシャル・ウェルビーイング」を実現

 J-FLECは昨年4月に創設され、8月から事業を順次開始し、11月までに企画していた全ての事業の立ち上げを終えた。まさにこれからが本番だ。

 J-FLECは「一人ひとりが描くファイナンシャル・ウェルビーイングを実現し、自立的で持続可能な生活を送ることのできる社会づくりに貢献すること」をミッションとしている。

 これまでは、金融庁や日銀、金融・証券・保険の業界団体などが個別に社会貢献活動の一環として、金融経済教育に積極的に取り組んできた。ただ、これに「横串」を通す組織はなかった。

 J-FLECは、金融リテラシーの向上を図る「プラットフォーマー」として、「時代の移り変わりと個人の多様性に即した金融経済教育を提供し、いまと未来の暮らしをより良くする金融サービスの活用や、資産の形成と活用を支援すること」をビジョンとしている。

◆「講師派遣等」と「個別相談」が2本柱、3ステップで展開

 ミッションの実現に向けて、三つのステップを進めていく。「ステップ1」は、講師派遣とイベント・セミナーの開催だ。「家計管理」、「ライフステージに応じた生活設計」、「資産形成」など幅広いテーマで実施する。J-FLECは、「投資教育」だけを行う組織ではない。もっと広範に、金融経済に関する知識や判断力を身に付けていただくことを目標にしている。

 J-FLECのもう一つの柱は、個別相談だ。多くの方に個別相談を受けいただき、金融経済教育で学んだことを実践につなげる後押しをすることを目指している。個別相談まで行う組織は海外にはなく、とてもユニークな試みだ。「ステップ2」の「『J-FLECはじめてのマネープラン』無料体験」、「ステップ3」の「『J-FLECはじめてのマネープラン』割引クーポン」については、後ほど説明する。

 2本柱となる事業を通じて、「個人の金融意識や金融行動を変えて、一人ひとりが描くファイナンシャル・ウェルビーイングを実現したい」という思いで活動している。

◆KPI、「講師派遣等1万件・参加人数75万人」を掲げる

 J-FLECは、KPI(重要業績評価指標)を掲げて、成果と課題を検証しながら、より良い金融経済教育を提供していく。「金融経済教育の提供」では、「J-FLECにおける講師派遣等の年間実施回数1万件」「年間参加人数75万人」を掲げた。

 次に「金融リテラシーの向上」と「金融意識・行動の変容」については、受講者にアンケート調査をして、教育の効果を確認していく。

◆J-FLEC認定アドバイザー、1000人超に拡大

 J-FLECが提供する金融経済教育は、新たに制度化した「J-FLEC認定アドバイザー」が担い手になる。認定に当たっては、中立公正な教育を担保するため、「金融機関に所属していない」「金融機関から商品の販売等で手数料を受け取っていない」-という条件を付けている。その上で、その人の持っている資格や相談業務の経験年数をマトリクスにして審査し、面接を行い、研修を実施している。1月7日の段階で1144人が認定済みだ。

◆個別相談、高い満足度を実現

 事業概要だが、①講師派遣事業 ②イベント・セミナー事業 ③「J-FLECはじめてのマネープラン」無料体験事業 ④「J-FLECはじめてのマネープラン」割引クーポン配布事業 ⑤学校等への支援事業-の五つだ。

 講師の派遣事業は、昨年の9月から11月で651件実施した。徐々に認知度が高まり、1月末では1690件に拡大している。まだ件数は多くないが、受講者の満足度の平均値は、5段階評価で4.39と高い。

 個人相談の「J-FLECはじめてのマネープラン」には三つの手段がある。(A)無料の電話相談(最大30分) (B)予約制の対面あるいはオンラインでの相談(最大1時間) (C)有料で相談した時に一定の条件下で相談料の8割を割引(最大3時間)する「割引クーポン配布事業」-だ。昨年12月までに75件のクーポンを配布した。

◆今後の展望、「誰一人取り残さない学びの場」を提供

 今後も、中立公正な組織として、偏りのない金融経済教育を全国に展開していく。テーマは「家計管理」「生活設計」「資産形成」「金融トラブル防止」など、投資に関わることだけでなく、幅広く行う。

 金融機関を兼業していない「J-FLEC認定アドバイザー」など、中立公正なJ-FLEC講師が教育の担い手になる。金融機関から営業を受けることが苦手な人も、基礎的な金融経済教育について安心して学べる環境を整え、提供していく。

 企業、学校、公民館や図書館といった地域のコミュニティーなどで、さまざまなイベントが行われている。金融経済教育に関心を持つ人がいれば、J-FLECに依頼いただくと、適切な講師を無料で派遣する。

 J-FLECは「誰一人取り残さない学びの場」を提供していく。2024年と25年が「金融経済教育再生元年」と言われるように、がんばっていく。

 

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